沿岸遊休地を活用した効率的な干潟再生技術

タイトル 沿岸遊休地を活用した効率的な干潟再生技術
担当機関 三重県水産研究所
研究期間 2007~2010
研究担当者 国分秀樹
発行年度 2011
要約 利用率の低い干拓地や埋立地を活用して、生物生産性を向上させる干潟再生技術を開発した。小規模な沿岸遊休地の干潟再生実験を実施し、海水導入により沿岸遊休地だけでなく、周辺海域の生物量が向上することを実証した。さらに規模を拡大し、約2haの沿岸遊休地の再生を試みた。新たに高コストの干潟を造成するのではなく、沿岸遊休地を有効利用して干潟に再生できることが本技術の特徴である。
背景・ねらい 閉鎖性海域において、本来備えている自然浄化能力が低下している原因として、による干潟藻場の減少によって健全な物質循環が失われることにあると考えられる。しかし、近年の社会情勢の変化により、干拓地や埋立地の利用率が低下しており、全国にこのような沿岸遊休地が6万ha以上存在するといわれている。そのため、閉鎖性海域の環境を改善するには、高額な予算をかけて新たに干潟を造成するよりも、このような沿岸遊休地を有効活用するほうが得策である。そこで、本研究では、海域環境の改善と豊かな沿岸生態系の回復を図るため、沿岸遊休地を干潟に再生する技術の検証を行った。
成果の内容・特徴 英虞湾内の沿岸遊休地において、ポンプを用いて潮汐と連動した小規模な海水導入実験を実施することにより、海水導入前後の底質及び底生生物の3年間の変化を評価した。その結果、海水導入前は嫌気的かつ高有機物量で生物量が低い状態であったが、海水導入することにより、有機物量が減少し、生物量と多様性が向上することが明らかになった。さらに海水交換により陸域と海域の物質循環が回復することで、沿岸遊休地だけでなく、遊休地前面干潟の生物量が向上することが明らかになった。
さらに本成果を用いて、同湾内の約2haの沿岸遊休地において潮受け堤防の水門を開放し、実海域での干潟再生実証試験を実施した。その結果、海水導入直後より、底生生物が増加し、1年半で30種/㎡、700g/㎡以上に増加することが確認できた。また底生生物の再生産も確認でき、生物豊かな干潟として再生することが実証された。
成果の活用面・留意点 干潟の存在しない場所にミチゲーション等の目的で新たに造成されるこれまでの干潟造成技術に対し、本手法は沿岸遊休地に海水を導入するだけで干潟再生可能な低コストかつ効率的な技術であるといえる。今後閉鎖性海域における漁場環境再生の一つのツールとして、公共事業等で使用可能である。ただし、沿岸遊休地は、管理や責任体制が複雑なため、利用にあたっては、関係機関の参画と合意形成が不可欠である。
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図表2 235386-2.gif
図表3 235386-3.gif
図表4 235386-4.gif
図表5 235386-5.gif
図表6 235386-6.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3270&YEAR=2011
カテゴリ コスト 低コスト

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