九州南方での水温前線北上に伴う周辺海域の海況変動

タイトル 九州南方での水温前線北上に伴う周辺海域の海況変動
担当機関 (独)水産総合研究センター 中央水産研究所
研究期間 2006~2010
研究担当者 齋藤 勉
森永健司
廣江 豊
清水 学
瀬藤 聡
秋山秀樹
発行年度 2011
要約 九州南方では水温前線が約20日の周期で繰り返し北上することが知られている。本研究では、漁場形成や卵・仔稚魚輸送過程に密接に関わるこの現象に伴う周辺海域の水温・流速場変動を三次元的・時間発展的に記述することを目的とした。対象海域における調査船による海洋観測結果と各種海況モニタリング時系列データとを組み合わせて解析を行った結果を報告する。
背景・ねらい 九州南方では水温前線が約20日の周期で繰り返し北上することが知られている。本研究では、この現象に伴う九州南方から日向灘の海況変動について、空間的に密な測点配置での調査船観測による水温・流速場の三次元的構造把握と、海況モニタリング時系列データを組み合わせた解析による時間発展的記述を試みた。
成果の内容・特徴
  • 2000年春季の衛星観測海面水温観測データ(図1)、鹿児島県実施の定期客船航走水温観測データ(図2上)から九州南方における約20日周期での水温前線北上の実態を把握した。
  • 黒潮前線に暖水舌が発達するのに伴い水温前線の北上が始まり、屋久島の南から佐多岬まで10日程度で北上すること(図2上の四角枠内)、前線の北上と同期して屋久島南東と大隅海峡東に低気圧性擾乱が発生すること(図1)、そして宮崎県設置の日向灘浮漁礁ブイ流速データから、これらの擾乱が黒潮前線に沿って日向灘へ伝搬することがわかった。
  • 複数回の蒼鷹丸による九州南方観測結果を定期客船航走水温から区分した20日周期変動の各ステージ毎に整理し、水温前線北上に伴う海洋構造の変動パターンを抽出した(図3:図中の○印は水温前線位置)。
  • 水温前線の北上に伴い、屋久島南水路(水深400m)と大隅海峡(水深100m)の東向きの流れが強化され(図3-(a)中3,4)、これらの流れが九州南東で黒潮と合流することにより黒潮前線域に鉛直構造の異なる擾乱が発生すること(図3-(b)中5,6)、そして、これらの擾乱が順次北上し、日向灘の海況に影響を与えていることが示唆された(図3-(c)中7,8)。
成果の活用面・留意点 九州南方から日向灘の海況に影響を与える20日周期変動の基本的な時間発展と空間パターンを抽出した。これらの知見は、同海域における短期的な海況予測への活用が期待される。また、同海域におけるマアジ仔魚の輸送過程やマイワシ等の産卵場形成過程を理解する上で基盤となる海洋環境情報となる。
図表1 235389-1.jpg
図表2 235389-2.gif
図表3 235389-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3329&YEAR=2011
カテゴリ モニタリング 輸送

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