黒潮本流域におけるマサバ漁場形成

タイトル 黒潮本流域におけるマサバ漁場形成
担当機関 神奈川県水産技術センター
研究期間 1995~2010
研究担当者 岡部 久
清水顕太郎
川島時英
黒田敬子
吉田 彰
萩原快次
安倍基温
前田洋志
千野 力
東元俊光
発行年度 2011
要約 伊豆諸島海域でのたもすくい網によるマサバ漁場は黒潮内側域に限定されると考えられてきたが、2010年漁期の中盤、黒潮本流域に入った三本を含む三宅島周辺海域でマサバ親魚が集群し、漁場が形成され続けた。過去の漁況と海況を振り返ると1983年にも同様のケースがあったと見られる。今回観察された黒潮本流域での集群・産卵はマサバの加入量変動の要因解明に資する現象として注目される。
背景・ねらい 2010年漁期の伊豆諸島海域で、教科書的には黒潮内側に限られると考えられているマサバの漁場が、黒潮本流域に形成された。そこで産み出された卵の生育場への輸送は加入量変動に影響する大変興味深い現象であると考えられることから、当該海域における過去の漁場形成の事例を含めて精査した。
成果の内容・特徴
  1. 三宅島周辺海域で集群があった各年において1人1夜あたりのCPUE≧100kgとなったのは、1983年:2/26~4/29、1985年:3/28~5/23、1986年:4/2~21、1989年:3/26~4/30、1990年:3/15~19、1992年:2/22~3/8、2009年:4/13~18、2010年:3/17~4/21であった。各年のマサバの産卵期と付き合わせると、1992年が産卵前期に入る前の集群であった他は、ほぼ産卵期中の集群だった(図1)。
  2. 2010年漁期は、3月中旬に黒潮前線域で19℃台の三宅島周辺海域に漁場が移った。4月上旬に三宅島周辺海域は黒潮本流域に入ったが、マサバ漁場は形成され続けた(図2)。1983年漁期、黒潮は3月後半に三宅島付近から東北東へ流れ、4月後半にも三宅島付近を通過し、漁場水温は16.3~20.6℃であり、漁場が黒潮本流域にあった可能性が示唆された。
  3. 両年ともに、黒潮は三宅島周辺海域を通過し北東方向に流去する流形であり、島や三本岳の北側に渦流域が形成されるなど、同海域には魚群が滞留するための地形的な利があることから、黒潮が通過する中で集群し続けたとみられる。また、黒潮本流域での集群・産卵と、通常の黒潮内側域での集群・産卵とでは、生み出された卵の生育場への輸送機構が異なることが想定されることから、その後のマサバの生残、加入にどう影響するのか、今後留意する必要がある。
成果の活用面・留意点 産卵場におけるマサバ親魚の挙動のモニタリングを続けることにより、資源の回復期にあると見られるマサバの資源管理と、漁況予測の精度向上に資する。
図表1 235391-1.gif
図表2 235391-2.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3172&YEAR=2011
カテゴリ モニタリング 輸送

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