ウイルス性神経壊死症(VNN)防除を目的としたキジハタの閉鎖循環式種苗生産

タイトル ウイルス性神経壊死症(VNN)防除を目的としたキジハタの閉鎖循環式種苗生産
担当機関 香川県水産試験場
研究期間 2009~2010
研究担当者 龍満直起
地下洋一郎
明石 豪
山本義久
森田哲男
今井 正
発行年度 2011
要約 VNNが頻発している海域において、VNN防除を目的として(独)水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所屋島庁舎が開発した閉鎖循環システムを用いた量産規模でのキジハタの種苗生産を2年間行った。平成21年は水平感染を防止でき、平成22年には全ての飼育事例でVNNは発生しなかった。これらのことから、キジハタの閉鎖循環式種苗生産はVNN発生防除に有効であることが実証できた。
背景・ねらい 当場が位置する屋島湾地先では、複数の生産機関がハタ類の種苗生産を行っており、平成19、20年にVNNが頻発し、キジハタの種苗生産が困難となった。そこで、本種のVNN疾病防除を目的に、閉鎖循環式種苗生産を量産規模で行い、その効果を2年間検討した。
成果の内容・特徴
【方法】
本試験では瀬戸水研屋島庁舎が開発した閉鎖循環システムを用いた。本システムは、泡沫分離装置、受水槽、生物ろ過槽、紫外線殺菌装置、循環ポンプ2台及び冷却機で構成されている。飼育試験は40klRC角型水槽を用いて、平成21年は2面で、平成22年は4面で行った。飼育海水や飼育器具の洗浄用に電解処理海水を用いた。餌料はシオミズツボワムシ(SS型)、アルテミア幼生、配合飼料を用いた。飼育水は5日令前後までは止水とし、以後1~9kl/hの範囲で循環させた。平成21年は84.7万尾、平成22年は232.0万尾の孵化仔魚を試験に供した。
【結果】
平成21年は2回の生産で12,700尾、56,100尾を取り上げ、平均全長は48.0mmと44.1mm、生残率は3.1%と12.9%であった。前者では未発症であったがNested-PCR法によるVNN検査で陽性となった(表1)。平成22年は4回の生産で347,400尾の種苗を取り上げ、平均全長は32.1~50.1mm、生残率は8.5~19.3%の範囲であり、全てVNN検査は陰性であった(表2)。飼育水の3態窒素は、概ねアンモニア態窒素が1.5mg/L以下、亜硝酸態窒素が1.0mg/L以下で、稚魚に影響を与えない水質を維持できた(図1、2)。以上より、閉鎖循環システムを用いることにより、キジハタ種苗生産でのVNN防除効果が実証された。
成果の活用面・留意点
  • キジハタの閉鎖循環式種苗生産はVNN発生防除に有効であることが示された。
  • VNN発生海域でも、通常の流水飼育と変わらない量産規模でのキジハタの種苗生産が可能となる。
  • VNNを発生させないことで、海域のVNN汚染レベルが低減され、安定的な種苗生産が可能となる。
図表1 235404-1.gif
図表2 235404-2.gif
図表3 235404-3.gif
図表4 235404-4.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3280&YEAR=2011
カテゴリ 病害虫 防除

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