海草藻場におけるシロクラベラ幼魚のなわばり形成

タイトル 海草藻場におけるシロクラベラ幼魚のなわばり形成
担当機関 沖縄県水産海洋研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 太田 格
発行年度 2011
要約 成育場である海草藻場において、シロクラベラ幼魚の行動追跡調査を実施した結果、各隣接個体の主な行動圏は互いに重複しておらず、同種他個体と遭遇すると顕著な排他行動を示したことから、シロクラベラ幼魚は、なわばりを形成することが分かった。
背景・ねらい 沿岸性魚類の資源回復が緊急の課題となっている中、沖縄県の三大高級魚の一つとして経済的価値の高い魚種であるシロクラベラの人工種苗量産技術が発達し、種苗放流による資源回復の試みが始まった。しかし、これまで沖縄県では種苗放流による魚類の資源回復・増殖の成功事例は認められておらず、種苗放流技術開発とその効果の評価及び適切な資源管理策のためには、海草藻場を生育場とする本種の幼期の生態特性や種間の競合を十分に把握する必要がある。
成果の内容・特徴 石垣島名蔵湾海草藻場において、シロクラベラ及び幼期の食性がシロクラベラに類似するクサビベラ、イソフエフキ3種の幼魚を一時的に個体識別し、行動圏、対他個体行動を潜水目視観察により調査した。
  1. GPSによる15分間の追跡軌跡を基に、シロクラベラ幼魚(<全長15cm)の行動圏面積を推定した(表1)。調査海域のシロクラベラ幼魚の生息密度は、2008年(8尾/750㎡)に高く、2009年(1尾/750㎡)に低く、顕著に異なったが、各年の行動圏面積に有意差は認められなかった。2008年の観測点外周内面積により計算した生息密度(8.4尾/750㎡)は、実際の生息密度と同等であった。
  2. 高密度年において、シロクラベラの主な行動圏(固定カーネル法50%面積)は、隣接する同種他個体間でほとんど重複しなかった(図1)。また、同種他個体との遭遇(n=40)のうち、98%で排他的な干渉行動(競合等)が認められた(図2A)。これらのことから、海草藻場においてシロクラベラ幼魚(少なくとも>全長11cm)は、なわばりを形成すると考えられた。なお、この遭遇時の競合の結果(優劣等)は、相手サイズにより異なった(図2B)。
  3. 観察した3種ともに、同種他個体に対する排他行動が認められたが、他種に対する排他行動は非常に少なかった(図3)。また、同種他個体に対する排他行動の頻度は、シロクラベラで特に高く、シロクラベラ幼魚が強いなわばり形成特性をもつことが分かった。
成果の活用面・留意点 マダイでは稚魚のなわばり形成と先住効果が環境収容力を規定することが報告されており、種苗放流による資源添加技術開発において、特に留意すべき特性である。
図表1 235413-1.gif
図表2 235413-2.gif
図表3 235413-3.gif
図表4 235413-4.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3343&YEAR=2011
カテゴリ GPS

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