八重山海域におけるシロクラベラの分布

タイトル 八重山海域におけるシロクラベラの分布
担当機関 沖縄県水産海洋研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 太田 格
発行年度 2011
要約 八重山海域におけるシロクラベラについて、1)稚魚は、限られた地域の海草藻場を成育場とすること、2)稚魚は4-6月に海草藻場に加入し、3-5ヶ月間滞在すること、3)稚魚期以降は、内海的なサンゴ礁域に生息し、成長に伴いより深い海域へと分布を拡大すること、4)成育場の条件として、発達した干潟の沖合に広がる、広い海草藻場であることなどが分かった。
背景・ねらい 沿岸性魚類の資源回復が緊急の課題となっている中、沖縄県の三大高級魚の一つとして経済的価値の高い魚種であるシロクラベラの人工種苗量産技術が発達し、種苗放流による資源回復の試みが始まった。しかし、これまで沖縄県では種苗放流による魚類の資源回復・増殖の成功事例は認められておらず、種苗放流技術開発とその効果の評価及び適切な資源管理策のためには対象種の成長に応じた生息環境の特性を十分に把握する必要がある。
成果の内容・特徴 八重山海域の海草藻場22定線、サンゴ礁浅海域(水深~30m:4段階区分)80定線において潜水調査を実施した結果、以下のことが分かった。
  1. シロクラベラ稚魚(全長10cm未満)の出現海域は非常に限定的であり、少なくとも石垣島西部海域においては、名蔵湾奥部の海草藻場が本種の主な成育場であることが分かった(図1)。
  2. シロクラベラ稚魚(全長5cm未満)は、4月-6月に海草藻場に出現し、3-5ヶ月間滞在した(図2)。サンゴ礁への移行は全長10-15cmに始まり、成長に伴い、より沖側の深い水深帯まで分布を拡大することが分かった。
  3. サンゴ礁浅海域の各定線を調査した結果、シロクラベラ(全長15cm以上)は、発達したリーフの内側や湾内など、主に「内海」と類型化された定線に出現した(図1)。
  4. 海草藻場の各定線の藻場と干潟(汀線から海草藻場までの潮間帯)の幅(岸-沖合方向)を調査した結果、シロクラベラ稚魚の平均生息密度が0.1(750㎡あたり)以上であった4定線(名蔵湾奥2、竹富島西、新川)では、海草藻場が広く(幅350m以上)かつ干潟が広い(幅150m以上)ことが共通していた(図3)。本種の成育場としての条件として、成魚の生息域が隣接すること、広い干潟があること、広い海草藻場であることが重要だと考えられた(図1、図3)。
成果の活用面・留意点 シロクラベラの分布及び生息環境の特性に関する情報は、資源管理及び生息環境保全に重要な基礎知見として活用できる。
図表1 235418-1.jpg
図表2 235418-2.jpg
図表3 235418-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3359&YEAR=2011
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