モノクローナル抗体によるウイルス性出血性敗血症ウイルスの遺伝子型識別

タイトル モノクローナル抗体によるウイルス性出血性敗血症ウイルスの遺伝子型識別
担当機関 (独)水産総合研究センター 増養殖研究所
研究期間 2009~2010
研究担当者 伊東尚史
栗田 潤
共同研究者:Niels Jorgen Olesen
発行年度 2011
要約 本研究により作製した8つのモノクローナル抗体と既存のVHSウイルス診断用抗体とを組み合わせることにより、現在世界で分離されるVHSウイルスの9つの遺伝子型すべてを迅速かつ簡易に識別することが可能となった。今後、これらモノクローナル抗体と各遺伝子型分離株との反応性を詳細に検討することにより、遺伝子型間における病原性の違いなどの解析が進むと考えられる。
背景・ねらい 我が国の特定疾病であり、OIE(国際獣疫事務局)のリスト疾病でもある重要疾病VHS(ウイルス性出血性敗血症)の原因ウイルス(VHSウイルス)は、現在世界中で9つの遺伝子型が分離されている(図1)。これまで日本で分離されたウイルスは、1株のIb型を除き、すべてIVa型である。新たな遺伝子型のウイルスの侵入を防ぐためには既存IVa型と他の型とを迅速かつ簡便に診断する手法の確立が急務である。また近年、OIEの水生動物衛生規範が改正され、世界的にも本ウイルスの遺伝子型別管理が検討されており、遺伝子型の簡易識別手法が望まれている。そこで、本研究ではVHSのOIEリファレンスラボラトリーであるデンマークのオーレセン博士と共同し、モノクローナル抗体によるVHSウイルスの遺伝子型識別手法の開発を実施した。
成果の内容・特徴 作製した8つの抗体と既製の診断用抗体(IP5B11;VHSリファレンスラボラトリーで作製・配布)とを組み合わせることで、現在世界で分離されるすべての遺伝子型を識別できた(図2及び図3)。これら遺伝子型識別用の8つの抗体は、7つがNタンパク質、1つがPタンパク質をそれぞれ認識していた(図4)。本手法により、これまで塩基配列の解析により数日を要してきたVHSウイルスの遺伝子型識別を、最短1時間以内に且つ簡易に行うことが可能となった。
成果の活用面・留意点 本手法は、国内防疫のみならず、世界中での利用が見込まれる。また、今回作製したモノクローナル抗体をツールとすることで、各遺伝子型の進化や分布域の広がり、遺伝子型間の病原性の違い等の解析が進むと考えられる。
図表1 235434-1.gif
図表2 235434-2.jpg
図表3 235434-3.gif
図表4 235434-4.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3330&YEAR=2011
カテゴリ 病害虫

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