タイトル | 発酵大豆油粕を配合したニジマス用無魚粉飼料の開発 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 増養殖研究所 |
研究期間 | 2005~2010 |
研究担当者 |
山本剛史 古板博文 杉田 毅 村下幸司 松成宏之 |
発行年度 | 2011 |
要約 | 枯草菌を主体とする複合菌種により発酵させた大豆油粕を主成分とする無魚粉飼料をニジマスに給与し、飼育成績や生理状態に及ぼす影響を調べた。その結果、未発酵大豆油粕を配合した無魚粉飼料の給与で生じる胆汁酸量の減少、腸管や肝臓の組織変性などが改善され、魚粉を主成分とする飼料と同等の飼育成績が得られた。 |
背景・ねらい | 世界的な養殖業の発展により、養殖用配合飼料の主成分である魚粉の価格が高騰したことにより配合飼料が値上げされ、養殖経営を圧迫している。このため、魚粉配合率を削減した飼料の開発が進められているが、サケ科魚類では大豆油粕の配合により胆汁酸量が減少するなどの生理異常が見られ、飼育成績が低下することが問題となっている。本研究では、大豆油粕の発酵処理による生理状態と飼育成績の改善効果を検討した。 |
成果の内容・特徴 | 大豆油粕に40%の水を添加した上で10時間発酵させたもの(図1)を配合した無魚粉飼料を与えたところ、魚粉を46%配合した飼料と比べ、成長や飼料効率は同等であり(図2)、胆のうの胆汁酸量や脂質の消化吸収率が改善された(図3)。また、直腸粘膜上皮の空胞変性などの組織異常も認められなかった(図4)。これまでに飼料への胆汁酸強化による生理異常と飼育成績の改善効果を明らかにしているが、現在、胆汁酸は飼料添加物として指定されていないことが実用化の障害であった。今回配合した発酵大豆油粕は飼料として認可されているため、実用化が期待できる。 |
成果の活用面・留意点 | 大豆油粕の給与による腸管組織の異常や胆汁酸の減少は、大西洋サケを含むサケ科魚類に共通して報告されていることから、他のサケ科魚類においても、今回使用した枯草菌主体の複合菌種により発酵させた大豆油粕の配合は有効であると考えられる。一方、発酵の条件(加水量、発酵時間)によって効果が異なることも明らかになったため、安定した品質のものを供給する必要性と、サケ科魚類以外の魚種における適正な発酵条件や配合効果を検討する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3247&YEAR=2011 |
カテゴリ | 経営管理 飼料効率 大豆 |