冷水病に強いアユ種苗の開発

タイトル 冷水病に強いアユ種苗の開発
担当機関 岐阜県河川環境研究所
研究期間 2009~2011
研究担当者 苅谷 哲治
桑田 知宣
発行年度 2011
要約 選抜育種による冷水病耐病性の改善について検討した。毎世代、人為的に冷水病に感染させて生き残ったアユを親に用いて継代し、各世代の冷水病耐病性を人為感染実験によって評価した結果、選抜した系統の感染30日後の生残率は2%から77.3%へと大幅に改善された。選抜した系統は、養殖用種苗として有用であると考えられるため、民間養殖場における実用化試験を実施している。
背景・ねらい 冷水病対策として冷水病に強いとされる海産系人工産種苗の活用が考えられるが、既存の海産系種苗では、冷水病発生時の投薬が不可欠な状況である。投薬コストを縮減するとともに冷水病被害を軽減するためには、既存種苗よりも冷水病に強い種苗を開発する必要がある。そこで選抜育種による冷水病耐病性の改善について検討した。
成果の内容・特徴 感染耐過したアユを親に用いて継代を繰り返すと、冷水病耐病性が向上することを明らかにした。
  1. 選抜の方法:毎世代、容量3tのFRP水槽に1000~2500尾のアユを収容し、冷水病により死亡したアユ(-80℃で保存)を垂下することにより人為的に冷水病に感染させ、感染後に生き残ったアユを親魚とした。
  2. 評価系統の選抜履歴:選抜履歴を図1に示した。2006年より新規系の選抜を開始した。ただし、2009年は選抜を実施しなかった。なお、琵琶湖産系と海産系は、共に2005年から2010年にかけて全く選抜を行なわず、冷水病も発生しなかった。
  3. 感染実験の方法:冷水病に感染させたアユの飼育排水を各試験水槽に給水することにより人為的に冷水病に感染させた(図2)。系統ごとに2~4水槽(評価年度により繰り返し数が異なる)の感染区を設定し、毎世代感染30日後の平均生残率を比較した。
  4. 結果:選抜を加えていない琵琶湖産系統では、世代間の冷水病感染時の平均生残率の違いが最大でも18%と小さかったが、選抜を加えた新規系では、世代を経るごとに平均生残率が向上し、3回の選抜で2%から77.3%へと冷水病耐病性が向上した(図3)。
これらのことから、感染耐過したアユを親魚に用いれば冷水病耐病性を向上させることができ、比較的短期間で冷水病に強い種苗を作出できることが示された。
成果の活用面・留意点 新規系統と海産系統は養殖種苗として有用なので、民間養殖場において養殖種苗としての実用性を検討中。
図表1 235437-1.gif
図表2 235437-2.gif
図表3 235437-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3376&YEAR=2011
カテゴリ 育種 コスト

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