サワラ煮干しの開発

タイトル サワラ煮干しの開発
担当機関 (地方独立行政法人)鳥取県産業技術センター
研究期間 2009~2010
研究担当者 加藤 愛
小谷幸敏
発行年度 2011
要約 近年、日本海でサワラやサゴシ(サワラの幼魚)が多く漁獲されている。サワラは高級魚として取り扱われるのに対して、サゴシは安価で、飼料として利用されることが多い。そこで、サゴシの有効利用を目的とし、サゴシ煮干しの開発について研究したところ、サゴシ蒸煮煮干しは、良いダシが出ることで有名な、タイやトビウオよりもさらに強い旨みやコクがあることが分かった。
背景・ねらい 日本海でサワラが近年漁獲されるようになったが、地元での需要が少なく、鮮魚として岡山市場などに出荷されている。サワラは高級魚として取引されるが、サゴシは安価に取引されるため、漁獲されても、漁場で廃棄されることが多く、資源の有効利用が行われていない。本研究では、日本海で漁獲される付加価値の低いサゴシを用いて、脂質含有量が少ないという特性を積極的に活用できるサワラ煮干しの開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 脂質含有量の多い魚を用いて煮干しを作製した場合、脂の酸化、ダシの濁り等が生じるため、煮干しに用いる魚は脂質含有量が少ないことが求められる。そこで、脂質含有量を非破壊的に推察できる方法を検討した。平成20~21年に鳥取県内で曳縄釣りまたは定置網で漁獲されたサワラまたはサゴシ40尾を用いた。魚体背側にディスティル社製ファットメーター(992-CDF)を当てて脂質含有量を測定するとともに、ソックスレー抽出法により脂質含有量を測定した。ファットメーターのアジ校正基準を用いて測定した結果が、ソックスレー抽出法で測定した結果と高い相関を示した(図1)。これにより、ファットメーターを用いて、非破壊的にサワラの脂質含有量を推察できることが分かった。
  2. 脂質含有量が1%程度の魚体を用いて、3%塩水で90℃5分間(塩水煮沸煮干し)、3%塩水、0.5%番茶で90℃5分間(番茶煮沸煮干し)、蒸し器を用いて15分間(蒸煮煮干し)加熱後、網に乗せ、ヤマト科学社製送風定温恒温器(DNF64)を用いて60℃で7日間乾燥させた(図2)。
  3. 鳥取県内で製造された各種煮干し(カタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシ、アジ、タイ、トビウオ、サバ)及び上記で作成したサワラ煮干し5gを200mlの蒸留水で10分間加熱し、ろ過したものをダシとした。インテリジェントセンサーテクノロジー社製味覚センサー(TS-5000Z)を用いて、ダシの味覚を測定した結果、旨みおよびコクにおいて有意な差が見られた(図3)。サワラ蒸煮煮干しのダシはトビウオやタイと同程度以上の旨みやコクがあることが分かった。
成果の活用面・留意点
  • 本研究により定置網等でやむを得ず漁獲されるサゴシの食材としての利用および、新たな地域特産加工品化が見込まれ、水産業を中心とする地域経済の活性化につながると思われる。
  • 漁獲量が減少しているトビウオに代わる、良いダシの出る煮干しとして活用が見込まれる。
図表1 235445-1.gif
図表2 235445-2.jpg
図表3 235445-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3284&YEAR=2011
カテゴリ 加工 乾燥 出荷調整

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる