タイトル | 通電加熱を用いた乾燥ナマコ製造技術の開発 |
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担当機関 | 青森県ふるさと食品研究センター |
研究期間 | 2009~2011 |
研究担当者 |
小向貴志 松原 久 |
発行年度 | 2011 |
要約 | 通電加熱によるナマコの加熱条件等を検討し、通電加熱を利用して市販の優良品に匹敵する疣立ちの良い乾燥ナマコを製造する技術を開発した。 |
背景・ねらい | 通電加熱は食品に通電して食品自体を発熱させる加熱方法であり、通常の加熱よりも加熱時間が短縮可能である等の利点があるが、水産加工分野での利用は魚肉すり身等一部に限られてきた。一方、青森県では乾燥ナマコ製造が重要な産業の一つとなっており、その外観、特に疣立ちが品質を決める上で重要な要素となっている。これらのことから、乾燥ナマコ製造の効率化や品質向上を目的として通電加熱技術を利用した乾燥ナマコ製造技術を開発することとした。 |
成果の内容・特徴 | 通電加熱によりナマコを加熱する場合、媒体となる外液には2%NaCl水溶液が適していた。また形や大きさが個体毎に異なるため、静置状態で通電加熱すると各個体の品温に差が見られ、この品温差を軽減するには、通電加熱しながら攪拌することが有効であった。さらに通電加熱及び通常煮熟により加熱したナマコの加熱前後の重量変化を検討したところ、通電加熱で一定温度に達するまで加熱したのみでは脱水が不十分であり、従来法と同程度の重量変化をさせるためには、通電加熱で一定温度に達した後に、通常煮熟により加熱することが必要であると思われた。また、疣立ちに関しても通電加熱により一定温度に達するまで通電加熱しただけでは良好な結果が得られず、疣立ちを良くするためには通電加熱と通常煮熟の併用が有効であった。特に80~90℃に達するまで通電加熱した後に通常の煮熟により淡水中で20分加熱した試験区が最も疣立ちが優れており、この条件で加熱することにより特別なノウハウがなくても市販の優良品に匹敵する疣立ちの乾燥ナマコが製造可能であった。さらに、乾燥ナマコの評価に影響を与える内蔵を除去するための切口からの石灰質の露出については、従来法と比較してきわめて露出が少なく優れていた。その一方、通電加熱により80℃以上で加熱した乾燥ナマコには、従来法による乾燥ナマコには見られない体表の破損が若干見られた。これらの破損はいわゆる火ぶくれとは異なり、通電加熱で急激に昇温させたことが原因と思われた。 |
成果の活用面・留意点 | 乾燥ナマコの疣立ちは品質上重要な要素である。通電加熱技術により、特別なノウハウがなくても疣立ちの良いナマコが製造可能となったことから、国産乾燥ナマコの品質向上につながることが期待される。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=3360&YEAR=2011 |
カテゴリ | 加工 乾燥 |