仙台湾魚類相の震災前後の比較

タイトル 仙台湾魚類相の震災前後の比較
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2011~2011
研究担当者 岡崎雄二
発行年度 2012
要約 砂浜域における魚類への津波の影響を明らかにするために、夏季から秋季にかけて仙台湾で得られた調査データを用いて解析を進めた。その結果、バケヌメリを除いて震災前後での魚類相の変化は小さく、いまのところ砂浜域に生息する魚類への大津波による影響は小さいと考えられた。
背景・ねらい 東日本大震災による大津波は沿岸生態系に大きな被害をもたらし、これまでの調査よりアマモ場の喪失や岩礁域の貝類の減少などが報告されている。一方、開放的砂浜域における津波による生態系や魚類相への影響は報告例がほとんどないため、実態把握が急務である。そこで本研究では、仙台湾砂浜域の調査データの解析を進め、津波による砂浜域の魚類への影響を明らかにすることを目的とした。
成果の内容・特徴 データは2004年から2011年の夏季から秋季にかけて実施したヒラメ稚魚調査で得られた混獲魚類のデータを用いた。調査は閖上沖から仙台空港沖にかけての水深約5m~20mの海域で実施し、魚類採集は水工研2型ソリネットを用いて行った。震災前(2004-2010)は、バケヌメリ、アカシタビラメ、サブロウ、ヒラメが優占種であった。震災後も震災前に優占していた魚類が上位を占めたが、バケヌメリの出現割合は極めて低かった。また、年々の優占種の密度は大きく変動していたが、2011年のバケヌメリ密度は平年より低い傾向にあった。
優占種と環境要因(底層水温・塩分)の関係より、バケヌメリは他の優占種に比べて低塩分水側に分布の中心があった。一方、2011年の採集測点の底層塩分は平年より高い傾向にあり、調査海域の高塩分化もしくは採集点の偏りがバケヌメリ採集数の低下の一つの要因である可能性が考えられた。
成果の活用面・留意点 いまのところ、大津波による砂浜域における魚類への負の影響は小さいと考えられるが、今回の結果は夏季から秋季にかけての結果であり冬季から春季にかけて砂浜域に出現する魚類への影響は不明である。また仙台湾砂浜域に出現する魚類の個体数の年変動は大きいため、津波による魚類への影響評価のためには今後も調査・研究の継続が必要である。
図表1 235466-1.gif
図表2 235466-2.gif
図表3 235466-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4151&YEAR=2012
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