タイトル | 東北海域におけるサメガレイの成長様式および漁獲物の年齢構成の把握 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所 |
研究期間 | 2011~2011 |
研究担当者 |
服部 努 伊藤正木 成松庸二 稲川 亮 渡邊一仁 |
発行年度 | 2012 |
要約 | 東北地方太平洋岸沖で漁獲されたサメガレイ(図1)の年齢査定を行った結果、最高齢は雄で15歳、雌で22歳と既往の知見より高齢であることが明らかとなった。漁獲物の全長組成は39cmと49cmにピークを持つ二峯型であり、小さい峯は6~10歳の高齢の雄、大きい峯は6~16歳の高齢の雌が大部分を占め、漁獲物の大部分は産卵親魚であると考えられた。 |
背景・ねらい | サメガレイは、東北地方では主に沖合底びき網漁業により漁獲され、大部分が宮城県の石巻漁港に水揚げされる。東北海域(東北地方太平洋岸沖)のサメガレイ資源は低位水準にあると判断されているが、本種に関する生物学的な情報は少なく、コホート解析に必要な年齢別の漁獲尾数も正確には把握できていない。本研究では、資源評価精度を向上させるための知見を得ることを目的とし、本種の成長様式を調べ、その結果に基づいて漁獲物の年齢構成を明らかにすることを試みた。 |
成果の内容・特徴 | 耳石薄片法(図2)によりサメガレイの年齢査定を行った結果、観察に用いた503個体中の303個体で年齢査定が可能であった。本研究で観察された最高齢は、雄で15歳、雌22歳であり、既往の知見より高齢な個体が確認された。また、2月1日を起算日として得られた成長式は、雄でTL=39.5(1-exp(-0.474(t+0.172)))、雌でTL=52.6(1-exp(-0.366(t-0.003)))で示され、雌の最大体長は雄より大きく、寿命は他のカレイ類に比べて長いことが明らかとなった(図3)。得られたage-length keyで年齢分解した結果、2008~2009年に石巻港に水揚げされた漁獲物の全長組成は39cmと49cmにピークを持つ二峯型であり、小さい峯は6~10歳の高齢の雄、大きい峯は6~16歳の高齢の雌が大部分を占めることが明らかとなった(図4)。このことから、漁獲物の大部分は産卵親魚であることが示唆された。 |
成果の活用面・留意点 | サメガレイの寿命はこれまで考えられていたよりも長く、東北地方では高齢魚を中心に漁獲されていることが明らかとなった。産卵のために集群している親魚への漁獲圧を下げることが資源の回復を計る上で重要と考えられる。本研究で確立した年齢査定法により分析を進めることにより、コホート解析等の高度な資源解析手法の導入が可能となる。漁獲物は高齢魚中心であるため、加入動向を把握するための情報収集が別途必要である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4159&YEAR=2012 |
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