タイトル | 春季の房総沿岸へのカツオの来遊経路 |
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担当機関 | 千葉県水産総合研究センター |
研究期間 | 2006~2010 |
研究担当者 |
石井 光廣 |
発行年度 | 2012 |
要約 | 房総沿岸に来遊するカツオを来遊経路別に把握するために、千葉県勝浦漁港に水揚げされる近海竿釣船の漁獲物から、小笠原北上群の解析をおこなった。近年は房総沿岸の曳縄が対象とする魚群は、黒潮北上群ではなく、竿釣が漁獲する小笠原北上群が主体であると推測された。 |
背景・ねらい | 日本近海へのカツオの来遊経路は、1.黒潮沿いに北上する沿岸ルート、2.小笠原から伊豆諸島付近を北上するルート、3.沖合いを北上するルートがあると考えられている。近年、日本近海でのカツオ漁獲量は減少しており、房総沿岸での春季のカツオ曳縄漁も不漁が続いている。そこで、カツオ曳縄の漁況予測の精度向上に当たり、房総沿岸へのカツオの来遊水準を来遊経路別に把握するため、千葉県勝浦漁港に水揚げされる近海竿釣船の漁獲物から、小笠原北上群の来遊特性を解析した。さらに、漁期前半の魚群の由来についても検討をおこなった。 |
成果の内容・特徴 | 春季に小笠原近海から北上するカツオを漁獲する近海竿釣船の水揚げが集中する勝浦漁港における竿釣の水揚量と千葉県の主要3港(川津、勝浦、天津)における曳縄の水揚量と比較すると、2001年以降は相関が高いことから(R2;2000年以前0.19、2001年以降0.55)、近年は曳縄が対象とする魚群は、黒潮北上群ではなく、竿釣が漁獲する小笠原北上群が主体であると推測された(図1)。 竿釣によるカツオの尾叉長組成を漁獲位置(緯度)別にみると、北緯30°以南では尾叉長50cm以上の大型魚が出現するが、30°以北へは房総沿岸での曳縄漁獲物と同じ40cm台にモードがある小型魚のみが北上することが明らかになった(図2)。さらに、その小型魚が房総近海(北緯34°以北)に到達するのは、5月頃であり、その時に曳縄の漁獲が増加することも確認された(図3)。 また、1~4月の曳縄による漁獲動向は、前年秋季(9~12月)の下りカツオの水揚量の動向に比較的類似することから(図4)、秋季の下りカツオが南下せず太平洋岸の黒潮沿いに滞留し、翌年の曳縄漁期前半の漁獲対象になると推察された。 |
成果の活用面・留意点 | これらの成果は、3月に発表する漁海況旬報ちばの「春季のカツオ曳縄漁の見込み」(http://fish-chiba.wni.co.jp/Report/creport.html)の根拠として利用されている。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4118&YEAR=2012 |
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