大阪湾の栄養塩レベルが底曳網漁獲量に及ぼす影響について

タイトル 大阪湾の栄養塩レベルが底曳網漁獲量に及ぼす影響について
担当機関 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所
研究期間 2009~2010
研究担当者 中嶋昌紀
山本圭吾
鍋島靖信
豊口良彦
樽谷賢治
発行年度 2012
要約 大阪湾の栄養塩レベルの指標として大阪府域におけるリンの発生負荷量と、底曳網の主要漁業生物(タコ類、エビ・カニ類、シャコ類およびシタ・カレイ類)の漁獲量との関係について検討した。これら底生魚介類の漁獲量は、一部を除き、負荷量の変化(1955年~2005年、富栄養化と貧栄養化)に対応してそれぞれ特徴的な応答を示し、両者の間には何らかの因果関係が存在するものと推定された。
背景・ねらい 瀬戸内海では水質総量規制等により窒素やリンの負荷量が低下し、水質は改善の方向にある。その一方で漁業生産が減少・低迷していることから、生産力低下につながる漁場の栄養塩不足が危惧されている。本課題では、負荷量と大阪湾における主要な漁業生物の漁獲量との関係を解析することによって、負荷量の変遷に対する水産資源の変動について調べた。
成果の内容・特徴
  • 大阪府域におけるリンの発生負荷量は中辻(2002)を主に用い、大阪湾における漁獲量は灘別統計等を用いた。
  • 底質の有機汚濁に対する耐性が強いとされているシャコ類およびシタ・カレイ類については、負荷量の増大とともに漁獲量も増大したが、ある水準を超えると漁獲量は低下傾向を示し、負荷量がピークアウトして減少に転じると再び漁獲量は増大傾向を示し、さらに負荷量が減少すると漁獲量は減少傾向を示した。
  • タコ類については負荷量の増大とともに漁獲量が減少し、負荷量が減少に転じると漁獲量が増大する傾向が見られた。
  • 底質の有機汚濁に敏感なエビ・カニ類についても、タコ類と同様に負荷量が増加すると漁獲量は減少し、負荷量が減少すると漁獲量は増加に転じた。しかしながら、1990年代中頃以降、漁獲量は再び急激に減少し、近年は負荷量の減少以外の要因が支配的に作用している可能性がある。
成果の活用面・留意点 これらの関係は、漁獲量および負荷量の推移がそれぞれ資源量および陸域からの栄養塩負荷量の推移を概ね反映しており、かつ陸域からの栄養塩負荷量以外の要因の寄与がほとんど無視できると仮定した場合に成立するものであり、見かけ上の関係を示している可能性を否定できない。しかしながら、エビ・カニ類以外の3種の分類群は、富栄養化進行期と貧栄養化進行期とで、漁獲量がほぼ同じ経路をたどる形で応答したこと、また、それぞれの魚種の底質の有機汚濁に対する耐性を反映した形で特徴的な応答パターンを示したことを考えると、底生魚介類の漁獲量と負荷量との間には何らかの因果関係が存在するものと推定された。
図表1 235494-1.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4152&YEAR=2012
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