アユのボケ病の原因究明と治療方法の確立

タイトル アユのボケ病の原因究明と治療方法の確立
担当機関 栃木県水産試験場
研究期間 2007~2010
研究担当者 石川孝典
渡辺裕介
尾田紀夫
土居隆秀
発行年度 2012
要約 アユのボケ病の原因究明と治療方法の確立のため、養殖現場での症例調査や人為感染試験、塩水浴による治療効果の確認を行った。症例調査では、アユポックスウイルス(PaPV)が関与し、鰓上皮に異型細胞が観察される症例がほとんどであった。この罹病魚と同居感染試験を行ったところ、ボケ病が再現された。また、水質や水温に注意しながら塩水浴を実施することでボケ病に対する治療効果を確認した。
背景・ねらい 急激な大量死を起こすアユのボケ病は原因不明病であり、その原因究明と対策が生産現場から強く求められていた。そこで、症例調査と人為感染試験によりその原因究明と塩水浴による治療効果について検討を行った。
成果の内容・特徴 アユ養殖生産現場で生産者がボケ病と判断した群について、症例調査を行った結果、多くの症例でアユポックスウイルス(PaPV)の保菌と鰓上皮における異型細胞形成が観察された(表1)。一方で長桿菌が関与する症例は少なかった。つまり、既知の細菌性鰓病ではなくて異型細胞が鰓上皮に観察される症例が、近年の生産現場で問題となっているボケ病であった。また、ボケ病発症への関与が疑われた鰓に観察される長桿菌の多くは、分離菌の遺伝学的調査および生化学的性状試験の結果から、既知の細菌性鰓病原因菌であると考えられた。分離菌によるアユへの感染試験では累積死亡率が約20~80%に達し、本菌単独でも強い病原性が確認された。
異型細胞が観察されたボケ病罹病魚と非罹病魚との同居感染試験を行ったところ、非罹病魚にPaPV保菌と異型細胞の形成およびボケ病発症が観察された(図1)。この結果から、異型細胞が観察されるボケ病の主因はPaPV感染であることが強く示唆された。また、異型細胞が観察されるボケ病の対症療法として、水質や飼育水温に注意した塩水浴が有効であることが確認された(図2)。2009年の生産現場では異型細胞やPaPV保菌の早期発見、餌止め、水質悪化や水温上昇を起こさないように配慮した塩水浴等の処置方法が実施され、ボケ病被害量は激減した。
成果の活用面・留意点 PaPVの保菌検査で、発症初期段階のボケ病を診断することができれば、重篤になる前に塩水浴による治療が実施できる。しかし、PaPVが陽性の群でも必ずしもボケ病を発症しないことはある。
図表1 235506-1.gif
図表2 235506-2.jpg
図表3 235506-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4117&YEAR=2012
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