タイトル |
真珠品質計測システムの開発 |
担当機関 |
三重県水産研究所 |
研究期間 |
2007~2011 |
研究担当者 |
中内茂樹
豊田敏裕
青木秀夫
渥美貴史
田中真二
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発行年度 |
2012 |
要約 |
アコヤガイ真珠の品質を決定する重要な要素である光沢と干渉色を光学的に計測・可視化する技術を開発した。光沢、干渉色の計測結果は、真珠鑑定士(専門家)による目視の評価結果とよく一致し、本技術の実用性が確認された。また、企業により本技術を備えた装置が作製された。
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背景・ねらい |
真珠の光沢と干渉色は、その価値を決定する重要な要因であるものの、それらの評価方法は専門家による目視評価が一般的であった。目視評価においては、観察者の主観や評価環境等の影響により、客観性や再現性に問題がある。そのため本研究では、真珠の光沢と干渉色について、光学的手法を用いた画像解析処理により客観的に計測する技術について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 光沢計測:多重露光による高輝度ダイナミックレンジイメージングにより、ハイライト部が白飛びすることなくデジタルカメラで撮影された真珠画像を取得した。真珠像領域の画素ごとの輝度値の頻度分布情報を用いて、ヒトの主観的な材質感知覚と深く関係する画像統計量(歪度)を求め光沢を数値化した。
- 干渉色計測:真珠に白色光を透過させてデジタルカメラで撮影した画像を基準画像(白色透過画像)とし、真珠の干渉色発現の原理である多層膜干渉の空間変化が最も顕著に現れる光(緑色)の透過画像との差分画像を抽出した。抽出された画像に対し、中心部と周辺部の空間情報を考慮した画像コントラストを求めることで、干渉強度を数値化した。
- 光沢・干渉色の計測値と専門家による目視評価との関係:専門家が目視により3段階で評価した真珠を試料として、それらの光沢・干渉色を計測して目視評価との関係を調査した。その結果、光沢・干渉色とも計測値は目視評価の結果とよく対応する結果が得られた(図1)。
- 装置の開発:本計測技術を備えた真珠単粒計測機、および複数並列計測と選別機能を併せた装置が企業により作製された。
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成果の活用面・留意点 |
- アコヤガイの養殖条件等と真珠品質の関係を把握することで、高品質な真珠の生産技術の確立に活用できる。また、本技術はアコヤガイ母貝・ピース貝の品質評価や育種技術の開発にも貢献する。
- 真珠の生産・流通現場において、客観的な評価基準に基づく真珠の差別化を図ることで、高品質真珠のブランディングを推進するためのツールとして活用できる。
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図表1 |
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研究内容 |
http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4088&YEAR=2012
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カテゴリ |
育種
評価基準
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