タイトル | スルメイカの視覚特性とイカ角(jig)視認能力 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 水産工学研究所 |
研究期間 | 2011~2013 |
研究担当者 |
長谷川英一 高山 剛 柴田玲奈 |
発行年度 | 2012 |
要約 | イカ釣漁業では、操業船下におけるイカのjigに対する視認性が釣獲過程の中で重要と考えられるが、十分に解明されていない。本研究では1)分散したイカの誘引、2)jigの視認、3)jigの捕捉方位の3項目に焦点をあて、スルメイカの視覚特性を検討した。その結果1)最大吸収ピーク波長は480~490nm、2)同波長の光照射で視認性は最大、3)光高感度方位は前方斜め下方であることが推定された。 |
背景・ねらい | イカ釣り漁業では、主にMH灯が使用されているが、近年消費電力を抑えるLED灯が注目されている。LED灯の実用化を達成するためには、発光波長の広選択性や配光調整の容易さといったLED灯の特徴がどのようにイカ釣り漁業にとって有利に作用するのかを示すことが必要である。そこで、イカの視感度特性とイカ角視認能力を調べ、LEDの有効性を検討することを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 視物質とは、網膜内にある光受容器である視細胞に存在する感光性化学物質である。スルメイカの網膜中の視物質(ロドプシン)についてHPLC分析を行った結果、最大吸収波長(λmax)は490nmであることが確認された(図1)。また、スルメイカが異なる波長光を照射されたjigをどのように認識しているかを調べるための再現実験を行った。本研究ではスルメイカの視感度に合わせるため、スルメイカのλmax(490nm)と値が近似しているバンドパスフィルター(500nm)を介して、一般的にイカ釣り漁業で用いられているjigを用いデジタル撮影を行った。400~600nm(50nm間隔)の波長をjigに照射し撮影した結果、500nmの波長の光照射の時に最もjigのコントラストが高かった(図2)。さらに光を敏感に感じることができる方向(光感知軸)を推定するために、網膜9部位中の視物質(ロドプシン)量の分布密度を調べた。その結果、上方背側の分布密度が最も高かった(図3)。以上の結果から、感度波長に適合した光エネルギー特性を持つ灯光下においてイカ角に対するスルメイカの視認能力が最大になること、スルメイカの光高感度方位は前方斜め下方であること(図3)などが推察された。 |
成果の活用面・留意点 | スルメイカの視感度特性や光高感度方位が明らかになったことから、LED灯の配光特性を活かし、イカの視感度特性に近似する波長の選択、照射角度の調整を行うことで、LED灯の集魚灯としての有効性が期待できる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4229&YEAR=2012 |
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