太平洋側外海砂浜域における漁場環境診断手法の開発

タイトル 太平洋側外海砂浜域における漁場環境診断手法の開発
担当機関 (独)水産総合研究センター 水産工学研究所
研究期間 2009~2012
研究担当者 齊藤 肇
澤田英樹
南部亮元
川俣 茂
森口朗彦
発行年度 2012
要約 東日本太平洋側の外海砂浜域における沿岸域環境の診断手法を開発することを目的として、環境診断モデルを開発した。全国の外海砂浜から効率的に生物環境情報を集められる調査・解析方法として、二枚貝遺骸(貝殻)群集を採集し、この空間分布パターンと強く相関する環境要因を抽出して統計モデルを作成することにより、水産有用二枚貝類の漁場としての砂浜の適性を評価する簡便な診断手法を提案した。
背景・ねらい 外洋に面した砂浜の砕波帯では、多種多様な水産動物の生息空間として重要な意義を持っている。しかし水深が浅く、波当たりが強いため、調査船による作業が困難であることから、内湾・内海域に比べると、漁場環境や対象生物の資源水準等の全国的診断に必要な情報が十分には蓄積されていない。本課題では、沿岸環境および漁業生産に関する既存の公表情報の収集・分析に加え、全国の砂浜から効率的に生物環境情報を集められる調査・解析方法を工夫して適用し、水産有用二枚貝類の全国的な空間分布パターンと強く相関する環境要因を抽出して統計モデルを作成することにより、水産二枚貝類の漁場としての砂浜の適性を広域的に評価する簡便な診断手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 砂浜に打ち上げられた二枚貝遺骸(貝殻)群集から二枚貝の生息状況に関する情報を効率よく収集する調査法として、砂浜に打ち上げられた貝殻が集積して形成される帯のうち最も海側のものに沿って、ビーチカスプ(渚の凹凸)に合わせて1メートル四方の方形枠を14個配置し、方形枠内に視認される貝殻を全て徒手採集することにより、その浜に出現する貝殻のうち約半分の種を把握できることを予備調査の結果から示した。また、非常に古い貝殻をデータから除外するため、貝殻を劣化・破損程度によるランク分けして計数した(図1)。
  2. 東日本太平洋側砂浜海岸にて1の手法で貝殻を採集し、主要な貝殻の出現傾向と漁場環境データ(浅海域及び後背地の地形、表面海水温、波の強さに影響する風の吹送距離等)をGIS上に集約した。
  3. 以上のデータをもとに、各種二枚貝類と環境データとの相関を解析し、砂浜の二枚貝漁場としての潜在的適性を診断するモデルを作成し、診断結果を地図上に表示できるようにした(図2)。
成果の活用面・留意点 東日本太平洋側全域に対する砂浜の特性がよくわかるため、どのような場所が水産二枚貝の漁場として適しているかを地図上に示すことができる。また、現在有用な二枚貝類が漁獲されない砂浜であっても、地形の特性から潜在的な二枚貝漁場を評価できるため、漁場の保全・管理などの指針作成に活用できる。
図表1 235517-1.jpg
図表2 235517-2.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4108&YEAR=2012
カテゴリ 環境データ 診断技術

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