渓流魚の資源増殖に対する輪番禁漁の効果

タイトル 渓流魚の資源増殖に対する輪番禁漁の効果
担当機関 栃木県水産試験場
研究期間 2008~2012
研究担当者 高木優也
酒井忠幸
久保田仁志
土居隆秀
発行年度 2012
要約 種苗放流に頼らない資源管理手法として期待されている輪番禁漁の効果と、有効な禁漁期間について検証した。輪番禁漁漁場において8年間の資源量調査を行った結果、短期的な禁漁(2~3年)によって全長15cmより大きな遊漁対象サイズが増加し、産卵量も約2倍に増加することが明らかになった。
背景・ねらい 近年、多くの渓流漁場では過度な漁獲と自然の再生産力の低下によって、放流直後を除いては常に資源が枯渇した状況となっている。これまでは、種苗放流を中心とした増殖が図られてきたが、在来個体群保全の観点から、また、天然魚やきれいな魚を釣りたいという遊漁者のニーズへの対応という観点から、新たな資源管理手法が求められている。そこで、種苗放流に頼らない資源管理手法として期待されている輪番禁漁の効果と有効な禁漁期間について検証した。
成果の内容・特徴 輪番禁漁が導入されている栃木県の2河川において(図1)、イワナ・ヤマメの生息個体数を調査した。その結果、以下のことが明らかとなった(図2、図3)。
  1. 全長15cmより大きな魚では短期的な禁漁(2~3年)によって資源量が増加した。
  2. 禁漁の効果は河川や、魚種によって異なった。
  3. 禁漁による生息個体数の増加はわずかでも、大型魚の増加によって産卵量の推定値は約2倍になった。
  4. 全長15cm以下の魚では、河川間、魚種間で生息密度に相関が認められ、降雨量などの広域的な環境変動や自然減耗の影響を強く受けていることが示唆された。
成果の活用面・留意点
  1. 2~3年という短期的な禁漁によって資源量が増加することから、輪番禁漁は資源増殖に有効な資源管理手法として活用できる。また、輪番禁漁で魚が増えた川を順繰りに解禁することによって、組合員や遊漁者の満足が得られる漁場運営が可能となる。
  2. 禁漁による資源増加は河川ごとに異なるため、実際に輪番禁漁を導入した際には、試し釣りなどで魚の増え具合を確認することが望ましい。
  3. 輪番禁漁によって増えた資源をその後も維持しようとする場合には、尾数制限や大型個体の持ち帰りを許さない漁獲制限など、再生産の維持を優先した遊漁規則を組み合わせる必要がある。
図表1 235527-1.gif
図表2 235527-2.gif
図表3 235527-3.gif
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4129&YEAR=2012
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