タイトル |
テグスと防鳥網の組み合わせで果樹園へのカラス侵入を抑える「くぐれんテグス君」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2009~2011 |
研究担当者 |
吉田保志子
佐伯 緑
百瀬 浩
松家義克
協力機関:大津農業協同組合
徳農種苗株式会社
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発行年度 |
2011 |
要約 |
棚仕立ての果樹園において、弾性ポールを用いてテグスを1m間隔で果樹園の天井部に張り、テグスと果樹園外周囲いのあいだの空間を防鳥網でふさぐことで、カラスの侵入を効果的に抑えられる。
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キーワード |
カラス、果樹、テグス、防鳥網、弾性ポール
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背景・ねらい |
収穫期の果樹ではカラスによる食害が起こる。食害防止には防鳥網の設置が確実であるが、資材費、設置労力、維持管理が問題となる。防鳥網より簡易な対策としてテグス設置が広く行われているが、テグスを設置しても侵入される場合があり、確実な対策となっていない。そこで、果樹園へのカラスの侵入行動に基づいて、テグスと防鳥網の組み合わせによる、簡易で有効なカラス侵入抑制技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 1m間隔で設置した弾性ポールの先端にテグスを結びつけ、果樹園の天井部に1m間隔でテグスを張る(図1)。テグス間隔が狭いほど侵入抑制効果は高まるが、カラスを用いた実験結果や設置経費・労力の点から、1m間隔が実用的である。長さ2mの直管パイプを0.5m地中に打ち込んで、その中に弾性ポールを差し込む方法で行うと、果樹棚の強度にかかわらず設置が可能であり、設置作業もしやすい。弾性ポールの使用により、脚立を使わずに高所へテグスを張ることができる。
- 棚高より十分上にテグスを張るため、ナシ園では長さ4mで直径10.5mmの弾性ポールが適する。テグスの太さは0.52mm(10号)から0.74mm(20号)のものが使いやすい。テグスの展張距離が長くなる場合は、約30mごとに垂れ下がり防止の下支えにワイヤー等を入れる。
- 果樹園外周を足場にした侵入を防ぐため、テグスと外周囲いの間の空間に、防鳥網を細い張り糸を使って張る(図1)。防鳥網は、網目が30mmで糸の太さが1000デニールの「強力防鳥網」が適している。
- 中央農業総合研究センター構内に設置した15m×30mの模擬果樹園に餌台を配置して行った野外試験では、テグス設置期間中のカラスの侵入はわずかで、試験餌(ドッグフード)の消費量は1/50以下に抑えられる(図2)。
- 徳島県のナシ園に設けた2ヶ所合計67aの現地実証ほ(図3)での聞き取り調査では、前年は10%あったカラス被害果率が、設置後は2ヶ所とも1%である。
- 30m×100m(30a)の果樹園に設置する場合の資材費は12万円程度であり(表1)、固定型防鳥網の1/10以下である。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:カラス被害のある棚仕立ての果樹園で全国的に利用可能である。棚のない果樹園では、外周囲いを設けて同様に設置することが可能である。
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:カラスによる全国の果樹被害面積は約4千ha(2010年農水省統計)である。徳島県のナシ園に設置された2ヶ所の現地実証ほでは、カラス被害の軽減効果について高い評価を得ている。
- その他:ホームページhttp://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/chougai/で、『果樹園のカラス対策「くぐれんテグス君」設置マニュアル』を公開している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2011/420d0_01_56.html
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カテゴリ |
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