トルコギキョウ花蕾ブラスチングの解剖学的解析と植物成長調節剤処理による回避

タイトル トルコギキョウ花蕾ブラスチングの解剖学的解析と植物成長調節剤処理による回避
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所
研究期間 2009~2011
研究担当者 川勝恭子
牛尾亜由子
福田直子
発行年度 2011
要約 トルコギキョウの花蕾ブラスチングは雄蕊及び雌蕊形成期に器官分化及び発達が停止することによって起こる。次節花蕾の切除ならびにベンジルアデニン(BA)とジベレリンA3(GA3)の花蕾への処理はブラスチング発生を抑制し、80%以上の開花率を達成する。
キーワード トルコギキョウ、ブラスチング、ジベレリン、サイトカイニン
背景・ねらい トルコギキョウは我が国において生産額第5位の主要花き品目であるが、冬季の国内産生産は夏季に比べて半分以下と非常に少ない。昨今トルコギキョウの需要が周年化したため、冬季には東南アジア産を中心とした輸入品が増加傾向にある。国内で冬季の生産を困難にしている主な原因の1つに、蕾が発育を停止するブラスチング現象の発生が挙げられる。ブラスチングは低照度高施肥量により誘導されることを報告しているが、ブラスチングの回避技術開発には至っていない。そこで国内のトルコギキョウ生産を周年的に安定させることを目標として、ブラスチングの解剖学的解析を行うとともに植物成長調節剤処理および次節の花蕾切除の効果を検証する。
成果の内容・特徴
  1. ブラスチング誘導条件下では、多くの花蕾が1cm以下で発育を停止させる。
  2. ブラスチング非誘導条件では正常に花蕾が発達するが、ブラスチング誘導条件では雄蕊および雌蕊形成時に花蕾発達が停止する(図1A)。花器官の分化が阻害されると同時に、既に分化している花弁の発達も抑制される。
  3. 誘導条件では花分裂組織が肥大する場合がある(図1B、C)。したがってブラスチング発生時には、分裂組織における細胞分裂停止に先んじて、分裂組織から側生器官への細胞供給の阻害が起こっている。
  4. CPPU (1-(2-Chloro-4-pyridyl)-3-phenylurea) およびベンジルアデニンの花蕾への点滴処理はブラスチング抑制効果を示し、引き続いて発生する花蕾の切除もこれらの処理とは独立に開花率を向上させる(図2)。
  5. ジベレリンA3の花蕾への点滴処理は開花率を向上させ、その効果は引き続いて発生する次節花蕾の切除による効果と相加的である(図3)。
  6. ブラスチング誘導条件(低照度高施肥)下でも、200ppm(0.58mM)のジベレリンA3と300ppm(1.33mM)のベンジルアデニンを約5mmの花蕾へ処理すれば、コントロール(植物成長調節剤施用なし)に比べて5倍の開花率となり、80%以上の花が開花する(図3)。
  7. これらの結果からブラスチングは、雄蕊および雌蕊形成時期での花器官形成の停止であり、植物成長調節剤施用と引き続いて発生する次節花蕾の切除により回避できる。
成果の活用面・留意点
  1. トルコギキョウのブラスチング回避のための植物成長調節剤施用については、現在農薬として未登録である。より効率的な使用法の開発ならびに植物成長調節剤としての登録手続きが必要である。
  2. 本成果は品種「ピッコローサスノー」を用い、人工環境下で実施した結果である。
図表1 235615-1.jpg
図表2 235615-2.gif
図表3 235615-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/flower/2011/141e0_10_06.html
カテゴリ 病害虫 施肥 トルコギキョウ 農薬 品種

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