高病原性鳥インフルエンザウイルスの病原性発現に関する宿主・病原体相互関係

タイトル 高病原性鳥インフルエンザウイルスの病原性発現に関する宿主・病原体相互関係
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2008~2011
研究担当者 内田裕子
西藤岳彦
鈴木康司
発行年度 2011
要約 高病原性鳥インフルエンザウイルスの内部遺伝子分節の組み合わせの違いは、ウイルスの増殖能、感染鶏の生存率、生存時間、症状の発現、遺伝子応答に影響を与える。感染鶏の遺伝子発現解析によって、その生存性と相関する宿主遺伝子が同定される。
キーワード H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザ、内部遺伝子分節、病原性、宿主遺伝子発現
背景・ねらい 高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)の病原性発現は、赤血球凝集素タンパク質(HA)の開裂部位の強毒型への変化が重要であることが知られているが、開裂部位の変化以外に家禽への感染性、病原性に関与するウイルス遺伝子については未だ不明な点が多い。また、病原性の発現には感染宿主応答も関与することが示されており、病原性解明にはウイルス・感染宿主の相互関係の解析が重要である。本研究は、HPAIVの防除に資するため、強毒のHPAIV表面抗原遺伝子分節を共通に持ち、内部遺伝子の組み合わせを弱毒型鳥インフルエンザウイルス由来の分節にした人工ウイルスを作製し、ニワトリに感染させることにより感染鶏体内でのウイルス増殖性や病原性発現に対するウイルス遺伝子及び宿主因子の関与を解析することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 強毒型であるHPAIV由来表面抗原遺伝子分節(A/chicken/Yamaguchi/7/2004、山口株, HP)及び野鳥由来弱毒型ウイルス(A/chicken/Yokohama/aq55/2001、横浜株, LP又はA/whistling swan/Shimane/580/2002、島根, WB)の内部遺伝子分節を組合せた人工ウイルスを17種類作製した。これらのウイルスはウイルス感染鶏の生存期間及び生存率を指標にして3つのカテゴリーに分類される(表1)。
  2. HPのHA遺伝子を持ち、LP及びWBの全内部遺伝子分節セットを保有する人工ウイルスに感染した鶏の生存期間は、元のHPウイルスの生存期間よりも延長する(表1)。
  3. LP及びWB由来内部遺伝子を組み合わせた人工ウイルスは、HPのHA遺伝子を保有していても必ずしも鶏を殺さない(表1)。弱毒型ウイルスの内部遺伝子の組み合わせの違いは、鶏の生存率、生存日数及びチアノーゼの度合いを変化させる(表1)。
  4. LP内部遺伝子のうちPA遺伝子分節をWBウイルス由来の分節と交換したウイルス[LP(W/PA)]を感染させた鶏は全く死亡せず(表1)、本ウイルスの鶏体内及び細胞でのウイルス増殖が低いことから(図1)、本ウイルスの増殖能と鶏の生存性との関連が示唆される。
  5. 宿主の生存及びウイルス感染に関連する遺伝子群に属する7つの宿主遺伝子(CD274、RNF19B、OASL、ZC3HAV1、PLA2G6、GCH1及びUSP18)の発現と感染鶏の生存性が相関している(図2)。
成果の活用面・留意点 HPAIVの病原性発現機構の解明の為に、ウイルス・感染宿主相互での病原性解析が大変有用である。
図表1 235677-1.gif
図表2 235677-2.gif
図表3 235677-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2011/170b1_10_06.html
カテゴリ 病害虫 病原性解明 防除

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