東南アジアにおける豚を介した新型インフルエンザウイルスの出現リスク

タイトル 東南アジアにおける豚を介した新型インフルエンザウイルスの出現リスク
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2008~2011
研究担当者 廣本靖明
竹前喜洋
林 豪士
内田裕子
西藤岳彦
発行年度 2011
要約 東南アジアでは豚でのウイルスの遺伝子再集合が頻繁に起こっており、豚を介した新型インフルエンザウイルスの出現のリスクが高いことが示唆される。一貫経営型養豚農場での豚インフルエンザサーベイランスにおいては、離乳豚におけるウイルス分離が有用である。
キーワード 豚インフルエンザ、東南アジア、サーベイランス、リアソータント
背景・ねらい 豚インフルエンザの生態解明は養豚農家の経済被害の観点のみではなく、新型インフルエンザの発生などの公衆衛生上の観点からも重要である。これまでに北米、ヨーロッパ、中国などで豚インフルエンザウイルス(SIV)の疫学調査が進められてきたが、世界有数の豚の生産地域となっている東南アジアでの疫学調査はほとんどなされていない。東南アジアでの新型インフルエンザ出現を監視する目的で、ベトナムとタイでの豚農場での疫学調査を実施している。
成果の内容・特徴
  1. 2010年にベトナム北部2県、16農場より計384検体、南部では3県、15農場より計375検体、総計759の鼻腔拭い液検体を収集した。2008年から2009年にタイ中央部の3県の6ヶ所からウイルス分離用の鼻腔拭い液検体を計731検体、抗体調査用の血清を計641検体収集した。
  2. ベトナム南部の1農場において健康な離乳豚から分離された6株のH3N2型のSIVはHAおよびNA遺伝子は2004-2006年に人で流行していた季節性インフルエンザウイルスと北米の豚で主流に分離されているトリプルリアソータントウイルスとのリアソータントウイルスである(図1)。
  3. タイでは9株のH1N1、2株のH3N2型インフルエンザウイルスと1株のパンデミック(H1N1)2009ウイルスが分離された。9株のH1N1型ウイルスは古典的豚と欧州鳥型豚ウイルス由来の遺伝子を、2株のH3N2型は人、欧州鳥型豚、古典的豚ウイルス由来である(図2)。これらのウイルスは2004-2005年に分離されたSIVの子孫ウイルスである。
  4. タイの一貫経営養豚場におけるウイルス分離率は離乳豚で4.3%(10株/232検体)と最も高く、母豚(227検体)からはウイルスが分離されない。また、他農場から定期的に豚を導入している大規模農場では、母豚の抗体保有率は年間を通じて高く、肥育豚の抗体保有率は大きく変動する傾向がある。
成果の活用面・留意点
  1. ベトナムにおいてSIVが初めて分離されたことによって当国の豚の抗体調査が可能となる。
  2. タイにおける調査結果はベトナムにおける豚インフルエンザサーベイランスにも活用されている。
  3. 家畜衛生上だけでなく、公衆衛生上の観点からも東南アジアにおける継続的なSIVの疫学調査が必要である。
図表1 235679-1.gif
図表2 235679-2.gif
図表3 235679-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2011/170b1_10_08.html
カテゴリ 経営管理 飼育技術

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