偽妊娠誘起を応用したブタの発情同期化法

タイトル 偽妊娠誘起を応用したブタの発情同期化法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2007~2012
研究担当者 吉岡耕治
野口倫子
鈴木千恵
発行年度 2011
要約 持続性エストロジェン製剤であるエストラジオールプロピオン酸エステルとプロスタグランジンFを用いると、簡便にブタの発情周期を同期化できる。また、本法は、養豚農場においても発情同期化効果が高く、新たに導入する未経産豚を同時期に分娩させる繁殖母豚グループに組み込む際などに有効に活用できる。
キーワード 発情同期化、ブタ、エストラジオールプロピオン酸エステル、プロスタグランジンF
背景・ねらい 多頭数のブタを飼養する養豚経営では、雇用労働者による作業の分業化および飼養管理のシステム化が図られている。繁殖母豚をいくつかのグループに分け、分娩時期をまとめて管理することは、オールイン・オールアウト方式の導入による衛生管理の徹底や計画的交配を通じた生産効率の改善に効果的である。そこで、簡便かつ効率よくブタの発情を同期化する技術を考案し、新たな発情同期化法の実用化を図る。
成果の内容・特徴
  1. 発情開始後9~13日目または排卵後8~11日目にエストラジオールプロピオン酸エステル(EDP)20mgを1回筋肉内投与することにより、25頭中21頭(84%)のブタに偽妊娠を誘起することができる(図1)。
  2. EDPの投与により誘起された偽妊娠豚の血中エストラジオール17β濃度は、EDP投与後8日目まで50pg/ml以上の高値で推移し、黄体退行を阻止する。偽妊娠豚の血中プロジェステロン濃度は5ng/ml以上の高値で推移し、黄体機能が維持される(図1)。
  3. 偽妊娠豚にプロスタグランジン(PG)F製剤(ジノプロストとして15mgまたはクロプロステノールとして0.175mg)をEDP投与から20~35日の間に24時間間隔で2回筋肉内投与すると、血中プロジェステロン濃度は速やかに減少し、黄体が退行する。続いて大卵胞発育の指標であるエストラジオール17β濃度が上昇し、発情が発現する(図1)。
  4. PGFを投与した15頭の偽妊娠豚のうち、14頭(93.3%)で発情が発現し、このうち13頭(92.8%)はPGF投与後4~6日目の間に発情開始が集中する。
  5. 2戸の中規模養豚農場において、発情最終日から7~11日目にEDPを投与すると、高率(94.5%)に偽妊娠を誘起することができる。偽妊娠豚にPGF製剤を投与して発情を同期化したブタの繁殖成績は、自然発情中に交配したブタの成績と同等で、この発情同期化法は養豚農場でも利用可能である(表1)。
  6. 偽妊娠を応用した発情同期化法は、オールイン・オールアウト方式の導入による衛生管理や計画的交配を通じた生産効率の改善のため、新たに導入する未経産豚を同時期に分娩させる繁殖母豚のグループに組み込む際や、発情周期がずれてグループからもれた経産豚を別のグループに取り込む際に有効に活用できる(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象 養豚農場、獣医師。
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等 全国。
  3. 臨床獣医師および農業関連団体から問い合わせあり。持続性エストロジェン製剤およびプロスタグランジン製剤は要指示医薬品であり、使用にあたっては獣医師の指示書が必要である。
図表1 235687-1.gif
図表2 235687-2.gif
図表3 235687-3.gif
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2011/170c1_01_29.html
カテゴリ 経営管理 飼育技術 繁殖性改善

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