地域農業に対する理解と振興を促す地域農業史の編さん

タイトル 地域農業に対する理解と振興を促す地域農業史の編さん
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2011~2011
研究担当者 坂根 勇
清水克志
嶺田拓也
発行年度 2011
要約 農村の地域資源を歴史的・地理的な観点から集積、再構築した地域農業史を住民参加で編さん・活用することは、参加者の地域農業に対する理解を喚起させる。さらに、その内容を地域内外へ発信することは、農地を有効活用した生産振興やブランド力向上に資する。
キーワード 地域資源、農業史、編さん事業、生産振興、住民参加
背景・ねらい 個々の農村地域が歴史的に蓄積してきた農地・技術・特産物等は、固有性の高い地域資源であり、それらを集積、再構築した地域農業史を編さんし、後世に情報を遺すことには社会的な意義がある。しかしながら、従来の編さん方法による地域農業史は、生産者や関係機関の関与が薄い場合が多く、刊行後に地域の農業振興に活用された事例は非常に少ない。

そこで、岩手県岩手郡岩手町を中心としたキャベツ産地における地域農業史(『岩手キャベツ物語』)の編さんを実践例として、地域農業の住民理解の深化及び振興に繋げるための地域農業史の編さん方法を提示する。
成果の内容・特徴
  1. JA・市町村役場・農業改良普及所など、生産・流通と直接関わる各機関が連携する地域農業史の編さん組織を編成する。これにより、編さん事業を作付拡大や生産者支援等の生産・地域振興施策と結びつける素地を作ることができる。
  2. 地域資源の収集にあたっては、住民にも広く呼びかけ、地域に実存する歴史資料(遺物・古文書)を収集する。また、世代の異なる地域農業の担い手(リタイア・現役・後継者の各世代)や各機関の担当者が参加した座談会等により、各時代における産地づくりの構想、生産基盤の獲得(開拓・低利用牧野の利活用)、生産技術、ブランド力向上に向けた考え等(口述資料)を採録する。
  3. これらの歴史資料を素材とした地域農業史の編集では、住民が地域農業史に対する難解で堅苦しいイメージを払拭し、親しみやすくするために、地図やグラフを多用したり、会話表現を活かした座談会、古写真等のグラビアを採録する等の工夫を施す(図1、図2)。
  4. 編さんに関与した生産者・各機関には、地域農業史の内容と価値の理解を通して、当事者意識が醸成される。各機関が連携して実施する講演会や自治体広報、資料展等の取り組みでは、地域農業史を資料映像等に再構成してわかりやすく提示することにより、農業に直接関与していない地域住民や都市住民に対しても、地域農業史の内容理解を促す(図3)。
  5. これらの取り組みは、特産物の知名度向上を目的とした出荷用トラックの改良や、特産物の販売促進を目的としたドレッシングの開発・販売等、生産振興の推進・ブランド力の向上のための具体的な取り組みへと結びつく(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は、地域特産物の生産振興を図ろうとする地域において活用が期待できる。
  2. 地域農業の歴史的意義付けと執筆には、専門的な知識・素養が必要なため、編さん組織に歴史学分野の研究者を加えることが望ましい。
  3. 歴史学分野以外の研究者や自治体職員にとっても、地域農業史編さんが可能となるよう、資料の収集・加工法や現地調査の留意点等をとりまとめることが今後の課題である。
図表1 235736-1.jpg
図表2 235736-2.jpg
図表3 235736-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2011/420b0_10_05.html
カテゴリ 加工 キャベツ 出荷調整

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