首都圏への米直売を行う北海道大規模稲作経営の販売活動の特質

タイトル 首都圏への米直売を行う北海道大規模稲作経営の販売活動の特質
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2011~2011
研究担当者 澁谷美紀
金岡正樹
細山隆夫
発行年度 2011
要約 首都圏に米を直売する北海道大規模稲作経営では市場最遠地・準良食味米地域の不利性を克服する差別化戦略が要請され、希少品種の導入や米製品以外の品揃え等の販売管理に加え、生産や全般管理等でも内部資源を活用した独自の活動を行う必要がある。
キーワード 米直売、北海道大規模稲作経営、首都圏、販売活動、マーケティング要素、バリューチェーン
背景・ねらい 経営規模が大きく系統出荷率の高い北海道稲作経営でも、米価低迷のなか、収益確保を目的に米の直接販売(以下、米直売)を行う経営が2割弱に達している。これらの中には、主に近郊中核都市へ直売する経営と、近郊中核都市に加え首都圏へも直売する経営とがある。販売量の多い大規模経営では、今後、首都圏も含めた米直売の拡大が重要であるが、準良食味米地域とされ首都圏から最遠地の北海道に有用な販売戦略は明らかではない。そこで、首都圏も含めて米の全量直売を行う北海道大規模稲作経営の販売活動の分析から、マーケティング要素の組合せ及びバリューチェーンにおける価値活動の特質を解明する。
成果の内容・特徴
  1. 北海道稲作経営が近郊中核都市に加え首都圏に米直売を行う上では、三つの主要課題があり、これらに対応するには、マーケティング要素の適切な組合せが重要である(図)。
  2. 「一般的な良食味品種に依らない製品差別化」という課題に対応するため、全国でも作付面積が僅かで成分等に強い特徴を持つ「彩」「ゆきひかり」といった希少品種の導入と減農薬等の栽培方法の差別化を図り<製品政策1>、有利販売を実施している(表1)。
  3. 市場最遠地ゆえの「高額送料の負担低減」という課題には、顧客セグメントの明確化とともに、顧客が同時に購入し易い米粉や酒等の米加工品を中心に野菜を含めた品揃えの充実を図り、購入時の1製品当たりの送料を低減している<製品政策2>(表1)。
  4. 「顧客とのコミュニケーション・ロスの削減」という課題には、百貨店催事での個人客への対面販売<流通政策>やアレルギー対応料理本での製品紹介<広告・販促政策>など、顧客満足度の向上を目指した効率的な情報提供の取組がより重要になる(表1)。
  5. 首都圏への米直売では北海道の不利性を克服する差別化戦略が要請され、バリューチェーン全体で戦略に適合した活動を行う必要がある。このため、「加工・調製」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」の販売管理に直結する活動だけでなく、品種選定や自社採種、栽培法の確立、生産・販売管理専任の人材確保など「生産資材調達」「生産」「全般管理」でも、差別化戦略を遂行する経営体独自の取組が求められる(表2)。これらの中には独自のノウハウに基づく取組や標準化が難しい取組もあることから、外部資源ではなく内部資源を活用した独自の活動が重要になる。
成果の活用面・留意点
  1. 研究者や指導機関が、市場最遠地の準良食味米地域において米直売を行う大規模稲作経営の販売管理を検討する際の参考情報として活用できる。
  2. 米を差別化し直接販売を行う北海道の個別経営を対象とした情報であり、廉価販売や仕入れ販売を中心にする経営については、別途検討が必要である。
図表1 235769-1.png
図表2 235769-2.png
図表3 235769-3.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/harc/2011/114b0_10_05.html
カテゴリ 病害虫 加工 経営管理 出荷調整 大規模経営 農薬 品種 良食味

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