手刈りしやすく夏植え栽培に適するサトウキビ新品種候補「KY99-176」

タイトル 手刈りしやすく夏植え栽培に適するサトウキビ新品種候補「KY99-176」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 1995~2011
研究担当者 服部太一朗
松岡 誠
寺内方克
寺島義文
石川葉子
境垣内岳雄
杉本 明
氏原邦博
伊禮 信
出花幸之介
下地 格
前田剛希
宮城克浩
崎山澄寿
発行年度 2011
要約 サトウキビ新品種候補「KY99-176」は、沖縄県宮古地域における夏植え栽培で可製糖量が多い。一茎重が大きく、脱葉性や耐倒伏性も良好で手刈り収穫に向く。黒穂病や葉焼病への抵抗性にも優れる。
キーワード サトウキビ、夏植え、脱葉性、手刈り収穫、黒穂病
背景・ねらい 宮古地域のサトウキビ栽培は夏植えが約9割を占め、手刈り収穫割合も75%と高く(平成21/22年期)、「宮古1号」や「NiF8」、「Ni27」等が栽培されている。これらのうち、栽培面積の大きい「宮古1号」は太茎の多収品種だが難脱葉性で手刈り収穫しにくく、葉焼病や風折による減収も課題となっている。「NiF8」は耐病性や脱葉性に優れ、手刈り収穫に向くが、育成から20年以上を経て収量性の改善が求められている。平成20年に、多収で手刈り収穫しやすい「Ni27」が育成され、その栽培面積が拡大しているが、風折抵抗性が“やや弱”、黒穂病抵抗性が“中”であり、宮古地域における栽培のリスク要因となっている。そのため、風折抵抗性と耐病性に優れ、「NiF8」や「宮古1号」より多収で手刈り収穫しやすい品種が求められている。
成果の内容・特徴
  1. 「KY99-176」は、「F161」を種子親、「RK89-1053」を花粉親として得た種子を、1999年に実生選抜に供試して以降、多収性と高糖性を重視して選抜した系統である(図1)。
  2. やや太茎で一茎重が大きく、脱葉性は「宮古1号」より優れる“やや易”、耐倒伏性は「NiF8」より優れる“強”であり、手刈り、機械刈りともに収穫しやすい(表1)。
  3. 普及対象である宮古地域では全作型で「NiF8」や「宮古1号」と同等以上の収量性を示し、とくに夏植えで茎数が多く、多収かつ可製糖量が多い(表2)。
  4. 黒穂病抵抗性は“強~極強”であり、“強”の「NiF8」を上回る。また、葉焼病抵抗性も「宮古1号」より強く、「NiF8」と同等の“強”であるなど、宮古地域で問題となり得る病害に対して優れた抵抗性を有している(表1)。
  5. 風折抵抗性は“やや強”であり、“中”の「宮古1号」より優れる(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象(サトウキビ生産者・製糖工場等)
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等(沖縄県宮古地域・300ha)
  3. その他
    1. 沖縄県が宮古地域の「宮古1号」と「NiF8」を代替対象として奨励品種に採用
    2. 夏植えでの栽培を推奨する。株出し栽培を行う場合は萌芽性が劣るので、株出し管理や補植等を適切に実施する。
    3. 手刈り収穫を中心とする含密糖製造向けの活用も見込まれる。
図表1 235841-1.png
図表2 235841-2.png
図表3 235841-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2011/320c0_01_44.html
カテゴリ さとうきび 新品種 多収性 抵抗性 品種

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