タイトル | コメのカドミウム汚染をなくす遺伝子を発見 |
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担当機関 | (独)農業環境技術研究所 |
研究期間 | |
研究担当者 |
石川 覚 倉俣正人 安部 匡 井倉将人 荒尾知人 中西啓仁 西澤直子 |
発行年度 | 2012 |
要約 | 土壌中のカドミウムをほとんど吸収しなくなったコシヒカリの変異体(低カドミウムコシヒカリ変異体)は、カドミウムやマンガンの輸送に関わるトランスポーター遺伝子であるOsNRAMP5のDNA配列に変異があることがわかりました。 |
背景・ねらい | 我々はコシヒカリの種子にイオンビーム照射することで、土壌に含まれるカドミウムをほとんど吸収しなくなった3つの突然変異体(lcd-kmt1, lcd-kmt2, lcd-kmt3)を作ることに成功しました(平成24年度の主要研究成果)。本研究では、これら変異体がカドミウムを吸収しなくなった原因となる遺伝子の変異について特定しました。 |
成果の内容・特徴 | マップベースクローニング法(品種間での遺伝子多型の違いから、DNAマーカーを使って原因遺伝子を絞り込む方法)等の遺伝解析手法を駆使した結果、低カドミウムコシヒカリ変異体として選抜した3個体ともすべて、OsNRAMP5遺伝子の塩基配列に変異があることがわかりました。OsNRAMP5は、カドミウムやマンガンの輸送に関わるトランスポーター遺伝子であることが報告されています(Ishimaru et al. Sci Rep 2012; Sasaki et al. Plant Cell 2012)。lcd-kmt1の場合、OsNRAMP5の第10エクソンの末端領域にmPingA1と呼ばれる433bpからなるトランスポゾン(転移因子)が挿入されていました(図1a)。lcd-kmt2では、OsNRAMP5の第9エクソンに1bpの欠損がありました(図1a)。また、lcd-kmt3はOsNRAMP5を含む約277kbpの大きな欠損が認められました(図1b)。 OsNRAMP5の変異により、カドミウムトランスポーターとしての機能が失われることによって、根におけるカドミウム吸収が強く抑制され、結果的に地上部のカドミウム濃度が著しく低くなることが明らかとなりました(図2)。 この変異遺伝子を他のイネ品種に導入することにより、新たな低カドミウム品種の開発が可能です。 |
成果の活用面・留意点 | 本研究は生物系特定産業技術研究支援センターイノベーション創出基礎的研究推進事業「食の安全を目指した作物のカドミウム低減の分子機構解明」による成果です。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | http://www.niaes.affrc.go.jp/sinfo/result/result29/result29_48.html |
カテゴリ | DNAマーカー 品種 輸送 |