オフィスビルにも使える強固な木造床を開発しました

タイトル オフィスビルにも使える強固な木造床を開発しました
担当機関 (独)森林総合研究所
研究期間
研究担当者 杉本 健一
青木 謙治
発行年度 2013
要約 オフィスビルを木造で建てようとすると、地震時や暴風時に受ける力が大きいので、木造住宅よりもずっと強固な床が必要になります。厚い合板を多数の釘で打ち付けた、オフィスビルにも使える強固な木造床を開発しました。
背景・ねらい ショッピングセンターやオフィスビルを木造で建てようとすると、地震時や暴風時に受ける力が大きいので、一般の木造住宅とはレベルの違う、変形しにくい(=強固な)床が必要になります。そこで、「厚物合板」と呼ばれる24mm厚や28mm厚の構造用合板を多数の釘で打ち付けた強固な床を開発しました。この床は、一般の木造住宅で「剛床」(ごうしょう)と言われる床の4~7倍も強固な“超”「剛床」であることを実験で検証しました。今後は設計時に必要なデータを盛り込んだマニュアルを作成し、設計者の方々に提供します。
成果の内容・特徴

背景・目的

CO2の排出を減らしてエコな社会の実現に向けた木材の利用拡大が求められており、住宅以外の大型建築物の「木造化」が注目されています。そこで、大規模な建物に使用可能な床の開発を進めました。大型のショッピングセンターやオフィスビルなどの大空間の床を木造で作ろうとすると、床の上にかかる鉛直方向の力に対して十分強いことはもちろんですが、地震時や暴風時などにかかる水平方向の力に対しても十分強くなければなりません。一般的な在来軸組構法の木造住宅の場合、火打ちばりという部材を入れ、その上に板材を打ち付けた床(柔床:じゅうしょう)や、構造用合板を張った床(剛床:ごうしょう)が用いられますが、大空間の床では“超”「剛床」とも言うべき、もっと強固な床が必要になります。そこで、「厚物合板」と呼ばれる24mm厚や28mm厚の構造用合板に、一般的な「剛床」の数倍の密度で釘を打ちつけ、「剛床」の4~7倍も強固な床を開発しました。

研究成果

開発した床の性能を確認するために、床試験体(表1)に水平方向に力を加える実験を行いました(図1)。加力実験は、油圧ジャッキにより、試験体の張間(短い)方向の両側から水平に交互に加力して行いました(図2)。図3は、スギ-カラマツ複合合板を長さ75mmの釘を用い50mm間隔で2列打ちした床の試験結果で、グラフの縦軸は加えた力、横軸は変形を表します。図3には合板と製材の釘接合部のデータから求めた推定値も示していますが、実験値の傾向をよくとらえており、計算による強度の推定も可能であることがわかります。
表2に開発した床の床倍率(設計で用いられる床のつよさの指標)一覧を示します。床倍率とは床の変形しにくさの尺度で、開発した床では13~22でした。木造住宅で通常用いられる床の倍率は剛床でも1.2~3程度ですので、開発した床は一般的な木造住宅に用いられる床よりはるかに強固な床であることが実験的に実証されました。

研究成果の利・活用

開発した“超”「剛性床」を利用すれば、大空間の建築物の木造化が可能になります。今後は産学官連携を通じて、公共建築物等への成果の普及を図っていきます。

本研究は、予算区分:一般研究費、課題名:「木質構造の構造安全性と快適性向上のための構造要素および評価技術の開発」(課題番号C221)による成果で、日本合板工業組合連合会との共同研究により実施しました。
図表1 235888-1.png
図表2 235888-2.jpg
図表3 235888-3.jpg
図表4 235888-4.png
図表5 235888-5.png
研究内容 http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/seikasenshu/2013/documents/p22-23.pdf
カテゴリ 評価法

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