タイトル |
六条大麦を用いた飼料用イネ−飼料用大麦の周年多収粗飼料生産技術 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2007~2012 |
研究担当者 |
石川哲也
山口弘道
佐藤健次
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発行年度 |
2012 |
要約 |
関東地方の平坦地水田において、六条大麦を11月上旬に播種すると、5月中旬には発酵粗飼料としての収穫・調製が可能で、収穫機械を飼料用イネと共用可能な周年粗飼料生産体系を構築できる。年間の全刈り乾物収量も、10a当たり約1.8トンと高い値となる。
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キーワード |
乾物収量、飼料用イネ、専用収穫機、二毛作、発酵粗飼料、六条大麦
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背景・ねらい |
水田を活用した粗飼料増産の方策として、夏作として飼料用イネを生産している圃場の冬作に飼料用麦等を導入して、飼料作付面積の拡大を図ることが有効である。子実を利用する食用麦類と比較すると、飼料用麦は、助成などの点では不利であるが、作業時期が早まるため競合の回避が可能で、飼料用イネ専用収穫機の稼働率向上にも貢献できる。 そこで、麦類の中で比較的生育期間が短く、倒伏に強い六条大麦を発酵粗飼料として収穫・調製し、飼料用イネと組み合わせた周年粗飼料生産体系の構築を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 冬作の六条大麦「関東皮81号」や「さやかぜ」は、11月上旬に播種すると、5月中旬(出穂後約30日)には糊熟期となり、乾物率は約30%に達し、細断型専用収穫機で発酵粗飼料として収穫できる(表1)。子実収穫と異なり、麦稈が圃場にほとんど残らないため、夏作の作業を速やかに進められる。
- 六条大麦と組み合わせる夏作の飼料用イネとして、晩生の「タチアオバ」を6月下旬に移植すると、10月下旬に発酵粗飼料として収穫できる。早生または中生品種を5月下旬~6月上旬に直播栽培すると、早生の「夢あおば」は8月中旬に、中生の「ホシアオバ」も8月中に出穂し、10月上旬までに収穫できる(表1)。麦作同様に稲わらが圃場にほとんど残らないため、冬作の作業を速やかに進められる。
- 夏作と冬作の地際刈り乾物重を合計すると、10a当たり2.2トンを上回る。細断型専用収穫機による全刈り乾物収量も、夏作飼料用イネが10a当たり平均1.1トン、冬作飼料用大麦は平均で0.7トンとなり、合計すると1.8トンとなる(表2)。
- 2011年夏作で黄熟期に収穫された飼料用イネ「ホシアオバ」の可消化養分総量(TDN)の推定値および粗タンパク含量はそれぞれ53.4%、4.38%であり、冬作で糊熟後期に収穫した六条大麦「さやかぜ」ではそれぞれ62.4%、6.07%である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 関東地方平坦地を対象とする。ただし、飼料用イネ専用収穫体系に必要な機器と、大麦播種や飼料用イネ乾田直播に用いるドライブハローシーダを保有しているか、作業委託が可能であることが前提である。
- 「関東皮81号」を除いた各品種の種子は、いずれも市販されている。
- 飼料用大麦を収穫する5月中旬まで、隣接水田や水路からの浸水がない圃場を使用する。
- 飼料用イネの収量は出穂後約2~3週間にあたる9月中旬まで入水した場合のものである。
- 飼料用麦を対象とした除草剤は、現在登録されていない。本試験では、食用麦類に準じて、ペンディメタリン乳剤を播種直後に散布している。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2012/120c3_01_13.html
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カテゴリ |
病害虫
大麦
乾田直播
直播栽培
収穫機
除草剤
飼料用作物
水田
二毛作
播種
品種
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