タイトル |
トウモロコシのフモニシンは黄熟期を過ぎると雌穂で急増する |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2010~2012 |
研究担当者 |
上垣隆一
遠野雅徳
月星隆雄
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発行年度 |
2012 |
要約 |
飼料用トウモロコシにおいて、フザリウム属菌が産生するかび毒フモニシンが、出穂後から検出されるようになり、その濃度は黄熟期を過ぎる頃から急激に高くなる。黄熟期を過ぎてからの熟期でのトウモロコシの利用は、フモニシン濃度の上昇に注意を要する。
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キーワード |
トウモロコシ、フモニシン、フザリウム属菌、熟期
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背景・ねらい |
関東地方で栽培されている飼料用トウモロコシから、フザリウム(Fusarium)属菌が産生するかび毒の一種であるフモニシンが高頻度に検出されている。フモニシンにはB1、B2、B3等の同族体があり、このうちフモニシンB1が量的に最も多く検出される。フモニシンは腎および肝毒性を有し、また馬の白質脳軟化等を誘発することも知られており、その汚染による被害が懸念される。
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成果の内容・特徴 |
- 栃木県那須塩原市で飼料用トウモロコシ(品種KD772)を5月に播種すると、乳熟期(8月下旬)まではフモニシンB1は検出されない(フモニシンB1:0.001mg/kg新鮮物[FM]未満、図1)。
- 糊熟期(9月中旬)に入るとフモニシンB1がわずかに検出され、黄熟期(9月下旬)では0.02mg/kgFM程度と低濃度だが、完熟期(10月上旬)に入ると濃度が急激に増加し、10月下旬には2.4mg/kgFMに達する。
- フモニシンB1の雌穂への分配率は黄熟期~完熟期には98%以上となり、フモニシンのほとんどは雌穂に蓄積される。
- トウモロコシに付着するフモニシン産生菌は、Fusarium. fujikuroi、F. proliferatumおよびF. verticillioides等である。これらのフモニシン産生菌は、フモニシン濃度が高い完熟期だけでなく、低濃度である糊熟期や黄熟期であっても分離される。また、フモニシンがほとんど分布していない茎葉からも単離される(表1)。
- ホールクロップサイレージ用トウモロコシでは、収穫適期である黄熟期に収穫し、収穫期を完熟期にずれ込ませないことがフモニシン汚染を防ぐためにも重要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 具体的データは、2009年度のものであるが、別の複数品種、別年度においても、同様のデータが得られている。
- 飼料中のフモニシンについて、現在国の基準値はないが、欧米では5-100mg/kgに設定されている例もあり、汚染低減のための配慮が必要である。
- フザリウム属菌は赤かび病菌であり、感染すれば赤かび病徴となるが、外見上は健全でもフモニシンを蓄積していることもあり、注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2012/170d1_01_19.html
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カテゴリ |
馬
飼料用作物
とうもろこし
播種
品種
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