A群ロタウイルス常在農場の豚は出生から出荷までに多様な遺伝子型のウイルスを繰返し糞便中へ排泄する

タイトル A群ロタウイルス常在農場の豚は出生から出荷までに多様な遺伝子型のウイルスを繰返し糞便中へ排泄する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2011~2012
研究担当者 宮崎綾子
久我和史
鈴木 亨
恒光 裕
発行年度 2012
要約 A群ロタウイルス常在農場の豚は出生から出荷までに多様な遺伝子型のウイルスを繰返し糞便中に排泄する。ウイルス排泄と遺伝子型変化は豚舎移動の前後に発生する傾向がある。
キーワード 豚、A群ロタウイルス、遺伝学的多様性、感染動態
背景・ねらい 豚A群ロタウイルス(RVA)は哺乳豚や離乳豚における下痢の主原因である。豚RVAによる下痢(豚RVA病)は国内外の養豚場で高頻度に発生し、発育遅延をもたらす経済的損失の大きな疾病である。国内ではワクチンは市販されておらず、ウイルス感染環を遮断する飼養衛生管理が唯一の対策法となっている。しかし、ウイルスの農場間および農場内感染動態の詳細は未解明であるため、感染環遮断によるRVA病の防除が困難となっている。 本研究では、RVAの農場内感染動態解明を目的とし、国内一養豚農場内において豚10頭の生後から出荷までの糞便中へのRVA排泄頻度とその遺伝子型について追跡調査する。
成果の内容・特徴
  1. 母豚900頭規模の繁殖肥育一貫経営農場において、生後7日目から217日目まで個体毎の直腸便を定期的に採取し、RVA遺伝子検出を行った結果、ウイルス排泄は間欠的に4回から6回、平均109日齢(範囲:98-119日齢)まで認められる。
  2. 感染防御に重要な役割を果たすGおよびP遺伝子型の調査により、少なくとも5種類のG型、6種類のP型、13種類のG型とP型の組み合わせが確認されたことは、農場に存在するRVAが遺伝学的に多様であることを示している(表1)。
  3. 各個体においても多様なG型とP型の組み合わせが確認される(表1)。豚舎移動の前後に組み合わせが変化する傾向が認められたことから、豚は各豚舎に常在する、もしくは豚舎移動に関連して他豚舎から伝播する遺伝子型の異なる株に暴露されウイルスを排泄すると考えられる。また、在舎中にも遺伝子型の変化が確認されることは、近隣豚房からのウイルス伝播もウイルス排泄の一因となる可能性を示唆している(図1および表1)。
  4. ウイルス排泄ピーク時には複数の遺伝子型が確認され(図1矢印)、混合感染する個体も認められる(表1アスタリスク)。同じGまたはP型に属する株は非常に近縁な塩基配列をもつ一方、組み合わせを作るPまたはG型が異なる株も観察されることから、農場内での遺伝子再集合が示唆される(表1、例:G5P[6]とG5P[13])。これらのことから、農場内RVAの遺伝学的多様性は、頻繁な混合感染と遺伝子再集合によって維持されると考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究結果は、豚舎間ならびに豚舎内でのRVA伝播を最低限にするような飼養衛生管理、すなわち、豚舎毎の専用長靴ならびに衣類の着用、移動前の徹底した豚舎の洗浄消毒、隣接豚房の豚との直接接触防止などによるRVAの伝播機会と多様化リスクの低減により、豚RVA病の発生が低減できる可能性を示している。
図表1 236085-1.png
図表2 236085-2.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/niah/2012/170d2_02_23.html
カテゴリ 病害虫 経営管理 出荷調整 繁殖性改善 防除

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