埋設パイプラインの安全性照査のための曲げひずみ推定手法

タイトル 埋設パイプラインの安全性照査のための曲げひずみ推定手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2010~2012
研究担当者 有吉 充
毛利栄征
堀 俊和
松島健一
上野和広
発行年度 2012
要約 土圧などの外圧により変形したパイプラインの曲率半径を計測することによって、円周方向の曲げひずみを算定する手法である。本手法で得られた曲げひずみを破壊ひずみ等と比較することにより、パイプラインの構造安全性を定量的に評価できる。
キーワード パイプライン、維持管理、曲率測定、性能照査、破壊ひずみ
背景・ねらい 農業用パイプラインは、耐用年数である40年を超える施設が年々増加しており、老朽化に伴う事故が頻発している。こうした施設を効率的に保全するには、構造的な安全性を適切に評価する必要がある。しかし、従来行われているたわみ量などの単純な断面変形の計測から、パイプラインの破壊に対する安全性を厳密に評価することは難しく、パイプの安全性を定量的に評価する手法は確立していない。
本研究では、埋設パイプラインの構造的な安全性を定量的に照査するため、曲率半径の変化から横断面の局所的な円周方向の曲げひずみを推定する技術を開発し、その手法の有効性と精度を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 土圧などの外圧により変形したパイプ(図1)の曲率半径を求め、曲がり梁の弾性理論を適用することで、横断面の任意の位置における円周方向曲げひずみを算定できる。曲率半径は、図2に示す曲率測定装置(デプスゲージ)により計測したベース底面からパイプまでの距離(d)等から、(1)式により計算できる。また、最大曲げひずみは、曲がり梁の弾性理論を適用した(2)式から計算できる。
  2. 地盤内に埋設した鋼管(直径800mm、管厚4.5mm)を地表面荷重により変形させた状態(図3)で、パイプに生じている曲げひずみを、本手法(以下、本手法により算定した値は推定値とする)とひずみゲージ(以下、ひずみゲージにより計測した値を計測値とする)により測定する。測定した結果を図4aに示す。曲げひずみ分布は、推定値と計測値で良く一致しており、本手法により埋設パイプの曲げひずみを推定できることがわかる。
  3. 管底部のように局所的な曲げひずみが生じている箇所では、ベース長により推定値が異なり、精度を高めるためには、適切なベース長を選定する必要があることがわかる(図4a)。局所的な変形を捉えるためには、ベース長は短い方が良いが、測定長に誤差があると、ベース長が短いほど、推定値の精度は低下する。そのため、測定長に生じる誤差を考慮して、ベース長を選定する必要がある。
  4. パイプに発生している曲げひずみ量が大きいほど、本手法の精度は高い(図4b)。特に、800µ以上では、±20%以内の誤差で推定できることがわかる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:パイプラインの維持管理に関わる国、地方公共団体、土地改良区、コンサルタント等
  2. 普及予定地域・普及台数等:全国のパイプライン・年間数地区
  3. その他:全管種・口径のパイプラインに適用可能であるが、本手法により求めたひずみ量によりパイプラインの安全性を評価するためには、JIS等で規定されているパイプの材料特性などが必要である。
図表1 236119-1.png
図表2 236119-2.png
図表3 236119-3.png
図表4 236119-4.png
図表5 236119-5.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2012/412b0_02_64.html
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