「マルドリ方式」を導入するためのカンキツ高品質果実率の改善目標

タイトル 「マルドリ方式」を導入するためのカンキツ高品質果実率の改善目標
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2011~2012
研究担当者 棚田光雄
齋藤仁藏
根角博久
発行年度 2012
要約 「マルドリ方式」導入による追加費用を償うための追加粗収益を、収量水準・品質格差・価格メリットによって算出することで、カンキツへ同方式を導入する際に必要な高品質果実率の改善目標を示すことができる。
キーワード カンキツ、マルドリ方式、追加費用、追加粗収益、高品質果実率
背景・ねらい カンキツの有望品種を対象に、高品質ミカンの安定生産技術として開発された周年マルチ点滴かん水同時施肥法(以下、「マルドリ方式」)を応用する現地実証試験によって、技術的効果の検証が進められている。「マルドリ方式」は高品質化を目的に多様な品種へ適用されることになるが、いずれの品種においても、同方式の経済性は、新規の施設投資等により新たに発生する費用を新たに得られる収益が上回ることで生まれる。一方、カンキツ有望品種において慣行栽培の下で高品質果実生産への取り組みが進められてきている。そうした中で、高品質果実の出荷比率(以下、高品質果実率)を現状の慣行栽培よりどの程度改善できれば収益的に有利になるのかが、「マルドリ方式」の導入を判断する際に重要となる。ここでは、費用対効果の観点から、「マルドリ方式」の導入に必要な高品質果実率について、慣行栽培に対する改善目標として推計する方法を示す。
成果の内容・特徴
  1. 「マルドリ方式」導入によって新たに発生する追加費用(年間)は、同方式の導入によって慣行栽培の費用が変化する費目を対象に、慣行栽培に対する増加額として算出する。具体的には、導入園地によって異なるマルドリ施設の減価償却費の他に、液体肥料への切替やマルチによる除草剤使用の減少を考慮し、肥料費と農業薬剤費の増減額を把握する(図1)。
  2. 「マルドリ方式」導入によって新たに獲得する追加粗収益は、出荷果実について、高品質果実とその他果実に2区分し、「マルドリ方式」の収量水準、「マルドリ方式」がもたらす品質格差(慣行栽培に対する高品質果実率の差)、高品質果実の価格メリット(その他果実との価格差)を用いて算出する(図2)。高品質果実率の改善目標としての品質格差は、図2に示した算出式の追加粗収益を追加費用に置き換え、同式を変形{品質格差=追加費用÷(収量水準×価格メリット)}して求める。
  3. 例えば、「せとか」(T産地)において、高品質果実の価格メリットの実状(190円/kg)を前提に、5万円/10aの追加費用を償うための追加粗収益を得るためには、高品質果実率は慣行栽培より5ポイント(収量5t/10a)~9ポイント(同3t/10a)高める必要がある(図3)。
  4. 各カンキツ有望品種において、価格メリット、収量水準を設定し、追加費用に応じて必要となる品質格差を目標値として推計する(表1)。この品質格差を形成するための高品質果実率の水準が、それぞれの「マルドリ方式」導入園における栽培技術面での目標となる。
成果の活用面・留意点
  1. それぞれの品種や園地にいおいて、費用・価格・収量の実状を踏まえて計算することにより、「マルドリ方式」導入の技術的条件として達成すべき高品質果実率の目安が得られる。
  2. 高品質果実は相対的に高価格を形成する果実であり、ブランド化や等階級・糖度基準を考慮し、品種や産地の実状に即して特定する。
図表1 236220-1.png
図表2 236220-2.png
図表3 236220-3.png
図表4 236220-4.png
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2012/142d0_02_12.html
カテゴリ 肥料 病害虫 栽培技術 出荷調整 除草剤 施肥 品種 薬剤 その他のかんきつ

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