タイトル | スケトウダラ卵仔魚の輸送に重要な役割を果たす物理的な要素とは? |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 北海道区水産研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
黒田 寛 東屋知範 |
発行年度 | 2013 |
要約 | 北海道高解像度モデルを構築して、スケトウダラ太平洋系群の卵仔魚を模した粒子追跡実験を行い、噴火湾内への輸送過程に関わる物理的な要素を整理した。数十km以下の小規模な流速変動と浮力によって粒子が表層付近にとどまる効果が不可欠であった。また、鉛直位置の微妙な違いは、湾内での滞留率に重大な影響を及ぼすため、より現実的な生物の鉛直移動を考慮した粒子追跡実験が今後必要である。 |
背景・ねらい | スケトウダラ太平洋系群は、数年に一度の割合で発生する卓越年級群(加入量が特に大きな年級群)によって資源が維持されており、本課題では、高精度な北海道周辺高解像度モデルを構築して、卵稚仔魚の輸送や生残過程をシミュレートすることで、卓越年級群の発生機構を解明する。 |
成果の内容・特徴 | 平年的な季節変動を再現できる北海道高解像度モデル(1/50°)を構築し(図1)、主要な産卵場付近の10m深に、卵仔魚を模した粒子を配置し、2月1日からの2カ月間、粒子の移動経路を追跡した(図2)。本研究での粒子の水平移動は高解像度モデルによる流れ、また、鉛直移動は流れおよび粒子の比重(浮力の効果)とランダムな運動により支配され、粒子の比重を5パターン変えることでその鉛直位置を調節した。その結果、粒子の比重を1026kg/m3に設定した場合、噴火湾内での粒子の鉛直分布は観測に基づく分布とよく一致し(図3)、噴火湾での粒子滞留率は最も高い(図4)。この結果は、卵仔魚期の鉛直分布・能動的な鉛直運動がその後の加入過程に重要な役割を果たす可能性を示唆している。 |
成果の活用面・留意点 | 現時点では、平年的な海洋環境における卵仔魚の輸送過程を扱っており、今後は、年々変動する海洋環境を再現・利用することで、加入量の年々変動過程・機構さらには卓越年級群の発生機構の解明と予測の高精度化が期待できる。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
図表5 | |
図表6 | |
図表7 | |
図表8 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4488&YEAR=2013 |
カテゴリ | 季節変動 輸送 |