耳石年輪径に基づくサンマの回遊ルートの推定

タイトル 耳石年輪径に基づくサンマの回遊ルートの推定
担当機関 (独)水産総合研究センター 東北区水産研究所
研究期間 2012
研究担当者 巣山 哲
中神正康
納谷美也子
酒井光夫
発行年度 2013
要約 漁期前調査時および漁期に採集したサンマの耳石年輪半径を計測して、地理的・月別の平均値の変化から漁期前に各海域に分布していたサンマが漁場に来遊する時期を推定した。漁期前調査時の年輪半径は西側で大きく東側で小さかった。漁期中には時期が遅くなると年輪半径が小さくなり、10月以降は漁期前調査時に東経170度より東側にいたものと差が見られず、東経170度以東からも来遊すると推定された。
背景・ねらい サンマは北太平洋に広く分布し、日本、台湾、ロシア、韓国等の漁船によって漁獲が行われている。東北区水産研究所では、2003年から毎年6-7月に日本沿岸から西経165度までの海域で表層トロールを用いて資源量推定のためのサンマ漁期前調査を行っている。この時期にサンマは西経域を含めた沖合に広く分布するが、日本近海の漁場に来遊するものは漁期前調査時にどの範囲まで沖合に分布していたのか、それぞれの海域に分布していたサンマが日本近海で日本漁船が操業する漁場にいつ頃到達するのかは明らかになっていなかった。これらは、漁況の予測に必要であるだけではなく、公海域で操業を行っている外国漁船を含めた国際的な資源管理を考える上でも重要である。そこで、漁期前調査時に採集されたサンマ1歳魚の年輪径の海域差を明らかにし、漁期に毎月漁獲された採集されたものと比較することによって、沖合に分布していたサンマが漁期に日本近海に来遊するのか、各海域からいつ頃日本近海の漁場に来遊するのかを調べた。
成果の内容・特徴 2002~2004年、2006年の漁期前調査時に採集されたサンマについて、経度10度おきに区切った海域別に年輪径の平均値を求めて0歳時の成長を比較した。一部の個体は耳石日周輪の成長パターンからふ化時期を推定した。年輪径の平均値は、各年とも西側で大きく東側で小さかった。2006年に東経160度以西と東経170度以東で採集された個体でふ化時期を比較したところ、両者で差は見られなかった。以上の結果から、年輪が形成される前の0歳時に成長の海域差が起こること、1歳魚の漁期前調査時までは東西に広く回遊しないために0歳時の海域による成長差が翌年7月まで維持されると考えられた。漁期の年輪半径の平均値を月ごとに比較すると、8月に最も高く10月または11月が最も小さかった。漁場における8月または9月の値は6-7月にもっとも日本近くにサンマが分布していた海域と同じかあるいはそれより小さく、10月以降は、東経170度より東の海域の平均値と差がなかった。以上のことから、8月以降のサンマ漁期には漁期前調査時に日本に近い海域に分布していた魚群が最初に来遊し、10月以降は東経170度以東からも来遊すると考えられた。
成果の活用面・留意点 現在のところ、これらのサンマがどこで生まれたものかが明らかになっていないため、今後は各海域で育つサンマがどこで生まれ、どのようにして生育する海域に加入するのかを明らかにする必要がある。
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研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4523&YEAR=2013
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