クライゼル水槽を用いたイセエビ幼生の飼育

タイトル クライゼル水槽を用いたイセエビ幼生の飼育
担当機関 三重県水産研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 松田浩一
阿部文彦
田中真二
発行年度 2013
要約 円筒を横向きに配置した形状をしたクライゼル水槽を用いてイセエビ幼生を飼育したところ、飼育作業の効率化と幼生生残率の向上が認められ、クライゼル水槽はイセエビ幼生の飼育に有効と判断された。
背景・ねらい イセエビは浅海に生息し漁獲が容易であり単価も高いことから、イセエビが分布する日本中南部の太平洋・東シナ海沿岸では重要な漁獲対象となっているが、幼生飼育が困難であるため、幼生飼育による稚エビの生産技術は確立しておらず、稚エビ放流による積極的な資源増殖の取り組みは実施されていない。三重県水産研究所では、放流用稚エビの生産を目的としたイセエビ幼生の飼育研究を実施しており、イセエビ幼生の飼育を効率的に行うとともに、飼育個体数の増大を実現させることを目的として、イセエビ幼生の飼育に水族館等でクラゲ等の飼育に活用されているクライゼル水槽を導入し、その効果を検証した。
成果の内容・特徴 飼育実験に用いたクライゼル水槽(図1)は、直径73cm、幅18cm、容量75Lの大きさで、この水槽2槽に日令38(体長4mm)の幼生186個体ずつを収容して飼育を開始した。飼育においては、水槽の上部から一方向に注水(注水量は1.5L/分)することで水槽内に縦方向の巡流を発生させ、イセエビ幼生を拡散、浮遊させた(図2)。水温は24℃とし、餌料としてアルテミアとムラサキイガイ生殖腺を用いた。水槽交換は1週間に2回行い、その際に疾病を予防するためのフロムフェニコール薬浴(1ppm)を一昼夜行った。幼生の成長に伴って水槽内の幼生密度が高くなったことから、飼育途中でそれぞれの水槽から50個体を間引きして飼育密度を下げた。飼育の結果、プエルルスへ変態するまでの生残率は32%と40%となり、高い生残率での飼育が可能であった。また、幼生期間を通じて水槽交換のための幼生の移動をサイフォンにより行うことが可能であり、水槽交換の作業が大きく効率化した。これらのことから、クライゼル水槽はイセエビ幼生の飼育に有効と判断された(図3では、従来から用いていた小判型水槽との対比のため、日令120から日令260までの生残率の推移を示した)。
成果の活用面・留意点 クライゼル水槽での飼育では、日令240までは高い生残率で飼育が可能であったが、その後は脱皮失敗、共食い、腸管閉塞などの疾病等によって生残率が低下したことから、日令240以降の後期幼生の飼育技術の改善が必要となっている。
図表1 236275-1.jpg
図表2 236275-2.jpg
図表3 236275-3.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4643&YEAR=2013
カテゴリ 飼育技術

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