天皇海山のクサカリツボダイの加入状況と漁獲圧の把握

タイトル 天皇海山のクサカリツボダイの加入状況と漁獲圧の把握
担当機関 (独)水産総合研究センター 国際水産資源研究所
研究期間 2012
研究担当者 清田雅史
米崎史郎
奥田武弘
発行年度 2013
要約 卓越加入が数年~10年に1回散発的に発生し、加入後体成長がなく漁獲の年齢分解もできないため資源状態の把握が極めて困難である天皇海山のクサカリツボダイ資源の適正な管理に向け、除去法を用いたトロール漁業データの解析から卓越加入年の加入量と漁獲圧を推定した。2010年と2012年の加入量は平均18,000トンと推定されたが,漁獲死亡係数は2.4で,Y/R曲線から求めたF0.1=1.24を大きく上回っていた。
背景・ねらい 天皇海山のクサカリツボダイは1970年代の漁場開発以降約10年間は漁獲量が年間2万トンを越えていたが、その後漁獲量は落ち込み、数年~10数年に1回散発的な卓越加入が起こった年のみ1万トンを越えるだけであった。しかし、2009年の自主管理措置導入以降、近年加入頻度が増している。クサカリツボダイは加入後体成長を行なわず漁獲物の年齢分解もできないため、一般的な資源動態モデルを用いた資源評価は困難であるが、加入後ほとんど海山間を移動しないと考えられることから,除去法(DeLury法)を用いて、加入強度と漁獲圧の推定を試みた。
成果の内容・特徴 1. トロール漁業データに除去法を適用したところ、卓越加入が発生した2010年と2012年には加入に伴うCPUEの上昇と,漁獲に伴う資源量低下を確認できた(図1, 2)。

2. 2010年と2012年の加入量は各々16,800トン、24,200トンと推定された。加入量に対する漁獲量は15,900トンと20,500トンであり、平均利用率は89%、漁獲死亡係数にするとF=2.37と推定された。

3. 文献情報に基づく自然死亡係数と経年的体重減少率からY/R曲線を求め、管理基準値の一つとして曲線の傾きがF=0付近の1/10になる値(F0.1)を計算したところ1.24であった。卓越加入魚に対する漁獲圧はF0.1を大きく上回っており、加入した未成魚に産卵の機会を与えるためには漁獲圧の削減が必要であると考えられた。
成果の活用面・留意点 ・天皇海山における現行の努力量制限、漁期制限はクサカリツボダイの産卵親魚保護の面では不十分であり、追加的な管理措置の導入が必要であることが明らかになった。

・設立準備中の北太平洋漁業委員会(NPFC)科学作業部会において本研究成果が発表され、韓国漁業データと合わせて解析を進めることになった。このように、北太平洋の漁業資源管理において我が国がイニシアチブを示すための科学的根拠として、本研究成果は活用された。
図表1 236304-1.jpg
図表2 236304-2.jpg
研究内容 http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4510&YEAR=2013
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