タイトル | 「イカ釣りLED漁灯活用ガイド」の刊行 |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 水産工学研究所 |
研究期間 | 2009~2012 |
研究担当者 |
渡部俊広 高尾芳三 長谷川英一 柴田玲奈 田丸修 高山剛 稲田博史 四方崇文 佐野栄作 三木智宏 |
発行年度 | 2013 |
要約 | イカ釣り漁業に用いられる漁灯の合理的な利用を目指し、農水省委託事業「イカ釣り漁業におけるLED灯の応用による効率的生産技術の開発」を実施した。事業では、スルメイカの誘集・漁獲過程の解明と、LED漁灯の実証試験が行われた。これら成果は、「イカ釣りLED漁灯活用ガイド」として刊行された。 |
背景・ねらい | 大規模な漁灯を使用するイカ釣漁業において、近年、発光ダイオード(LED)を用いた漁灯が省エネルギー技術として注目されるようになったが、現状のLED漁灯は、従来型の漁灯に比べて漁獲能力が劣り、転換による採算的なメリットも少ないことが徐々に判明してきた。このような背景のもと、不明部分の多かったイカ釣り漁業の誘集・漁獲過程を解明し、これを土台としてLED漁灯の技術改善の方向性を検討するため、2009年度から2012年度にかけて農林水産省委託事業「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」において「イカ釣り漁業におけるLED灯の応用による効率的生産技術の開発」を実施した。また、研究事業の成果の普及を目的として、「イカ釣りLED漁灯活用ガイド」を刊行し、漁業者向けの情報として発信した。 |
成果の内容・特徴 | 「イカ釣りLED漁灯活用ガイド」の第1章では、イカの誘集・釣獲過程に関する研究成果を紹介し、効率的操業を行うための漁灯活用の方向性を示した。漁灯の効果範囲を検証するため、音響発信器を取り付けたイカを操業船周辺で放流した研究事例では、最大で2海里離れた地点からイカが漁灯下に到達することが明らかとなり、漁灯光は広範囲からイカを集めている可能性が示唆された(図1)。また、計量魚群探知機により船下のイカ群密度を計測し、単位時間あたりの漁獲量と比較した研究事例では、分布密度が非常に高くなると漁獲量が頭打ちになる現象が確認された。このような現象は、イカ釣り機の漁獲能力を上回るペースでイカが船下に進入する場合に観察されると考えられ、極めて好漁となる操業では、減灯しても漁獲量が落ちない可能性が示唆された(図2)。第2章では、LED漁灯の特徴や導入事例等を紹介した。LED灯は、イカの分光視感度のピークに適合した波長である480~490nm(青緑色)を選択的に発光することができ(図3)、操作性や配光設計の自由度も高いことから、将来的には既存漁灯からの切換が進むと考えられている。操法例としては、LED灯とメタルハライド灯を併用し、漁獲状況に応じてメタルハライド灯を減灯することで、漁獲量を減らさずに燃油消費量を削減した事例を掲載した(図4)。 |
成果の活用面・留意点 | 「イカ釣りLED漁灯活用ガイド」はA5版の小冊子として印刷され、関連業界団体等に配布された。また、水産工学研究所ホームページにも掲載され、全文の閲覧が可能である。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4547&YEAR=2013 |
カテゴリ | 効率的生産技術 省エネ・低コスト化 |