タイトル | 漁船の燃料消費見える化装置の開発 |
---|---|
担当機関 | (独)水産総合研究センター 水産工学研究所 |
研究期間 | 2011~2015 |
研究担当者 |
長谷川勝男 溝口弘泰 |
発行年度 | 2013 |
要約 | 漁労支出に占める燃油費の割合の高い水産業を省エネルギー型の産業へ転換することが求められている。省エネルギー方策の一つとして、漁船の航行時に燃料消費をリアルタイムで操船者に提供する漁船の燃料消費の見える化装置を開発した。 |
背景・ねらい | 漁船漁業は、その多くの漁業種類で経費に占める燃油費の割合が高く、漁船漁業の安定経営のためには、ハードおよびソフト両面から各種省エネルギー方策を総動員しなければならない。貨物輸送等の陸上車両では、エコドライブ表示装置を導入することで燃費向上を達成した事例が報告されている。漁船にも燃料消費の見える化を導入するために、省エネ運航を支援するシステムの開発と検証を行った。船の操舵室(ブリッジ)内に燃料消費の実態をリアルタイムで表示することで、減速航行時の燃油節約効果が実感できることから、操船者に燃料消費を節約するエコ運航への気運が醸成されるものと期待される |
成果の内容・特徴 | 漁船の省エネルギー方策の一つとして船速を落とす減速航行が有効だが、同時に航海時間の増加を伴うため、漁船の航行時の燃料消費特性を把握した上で、省エネルギーに効果的な運航・操船方法を見極めることが必要となる。遠洋かつお一本釣り漁船(499トン)について、航海中の主機関の燃料消費の実測をもとに船速と燃料消費の関係を把握した(図1)。主機関回転数を高くするに従い、燃料消費量は増大するにも係わらず、船速は、回転数250rpm以上ではその増加傾向は頭打ちになる。機関回転数を300rpm以上としても速力の上昇は僅かであり、エネルギー面からは効率的ではない。このような実態を見える化することにより、省エネルギーを意識した操船が期待される。遠洋かつお一本釣り漁船に見える化装置を搭載した(図2)。かつお一本釣り漁船の魚見台にも表示器を増設し、漁船航行時は常に燃料消費を把握しながらの操船を可能とした。操船者は、この見える化画面の情報を勘案して、例えば、漁場移動など時間的に余裕がある場合には意識的に減速した航行を行っている。遠洋かつお一本釣り漁船の一航海の燃油消費量は主機関と補機関を合わせて約360kLを超える。航行に係わる主機関の燃料消費は約6割を占めており、このうち5%の省エネができれば、一航海で約11kLの燃油が節約できる。 |
成果の活用面・留意点 | 漁船のブリッジで燃料消費をリアルタイムで可視化することで省エネルギー運航に貢献できるとの仮説のもとに、これまで数年をかけて見える化装置の開発、検証、普及に取り組んできた。燃料消費の見える化による省エネルギー効果は、漁船航行時に活用すれば5%以上の燃油節約が可能と考えられる。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4632&YEAR=2013 |
カテゴリ | 経営管理 省エネ・低コスト化 輸送 |