タイトル | サツキマスの産卵床の特性について |
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担当機関 | 岐阜県河川環境研究所 |
研究期間 | 2008~2013 |
研究担当者 |
桑田知宣 徳原哲也 岸 大弼 大原健一 |
発行年度 | 2013 |
要約 | 長良川支流におけるサツキマスの産卵床の特性を把握するため、当研究所で保有していた調査データ(位置・規模・水深・流速・河床材料を検討)の解析を行った。産卵床は主に淵尻に形成され、長径の平均は129.5cm、短径の平均は85.0cm、表層流速は平均42.0cm/s、底層流速は平均25.9cm/sであり、河床材料は主に粒径32-63mmおよび16-32mmの礫であった。 |
背景・ねらい | サツキマスは、遡上を遮断する河川構造物の建設などによって減少し、現在も個体群として存続している水系は岐阜県の長良川などごく一部に限定され、岐阜県内においても漁獲量が低迷しているのが実情である。本種については種苗放流による増殖が実施されているものの、経費の制約で放流魚の数量の追加は困難であることから、野生魚の持続的利用に注目する必要がある。本課題ではサツキマスの産卵床の特性を明らかにすることとした。 |
成果の内容・特徴 | 当研究所では、2001~2005年に長良川支流においてサツキマスの産卵床の現地調査を実施した。観察された産卵床について、その形成位置を記録するとともに、規模(長径および短径)・水深、表層および底層の流速を測定したほか、優占する河床材料を記録した。調査データを再整理した結果、以下の知見が得られた(図1)。全22ヶ所の産卵床のうち、20ヶ所が淵尻および2ヶ所が瀬に形成され、淵尻が選好される傾向が認められた(写真)。産卵床の長径は平均129.5cm、短径は平均85.0cmであった。水深は平均61.5cmであった。また、表層の流速は平均42.0cm/s、底層の流速は平均25.9cm/sであった。産卵床を構成していた河床材料は、粒径32-63mmの礫が最も優占し、次に粒径16-32mmの礫が優占した。河床材料の重量組成は、粒径32-63mmの礫が平均30.4%、粒径16-32mmの礫が平均28.0%であり、これらで半分以上を占めていた。 |
成果の活用面・留意点 | サツキマスの持続的利用のためには、その自然繁殖を維持することが必要であり、今後、産卵場所の保全が重要視されるであろう。本研究で得られた知見は、サツキマスの産卵場所を特定する際の基盤情報として不可欠なものである。また、近年、アマゴ・ヤマメの増殖方法のひとつとして人工産卵場の造成が注目されている。サツキマスは、アマゴ・ヤマメと同じサクラマスの仲間であるが、体サイズがアマゴやヤマメより大きいため、アマゴ・ヤマメと同じ構造の人工産卵場は不向きであると考えられる。本課題で得られた知見は、将来、サツキマス用の人工産卵場の造成方法を検討する際に役立つものと考えられる。 |
図表1 | |
図表2 | |
研究内容 | http://fra-seika.fra.affrc.go.jp/~dbmngr/cgi-bin/search/search_detail.cgi?RESULT_ID=4593&YEAR=2013 |
カテゴリ | 繁殖性改善 |