ラオス産小型魚類2種のDNAマーカーによる遺伝的多様性・集団構造評価

タイトル ラオス産小型魚類2種のDNAマーカーによる遺伝的多様性・集団構造評価
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2011~2015
研究担当者 森岡伸介
小出水規行
Bounsong Vongvichith
発行年度 2013
要約 ラオスの遠隔農村部で重要な食料資源となっている小型在来魚類Esomus metallicus(コイ科)とParambassis siamensis(タカサゴイシモチ科)のDNAマーカーが開発され、これにより、ビエンチャン市周辺及びナムグム川西岸における当該2種の遺伝的多様性を評価できる。さらに、集団構造解析による地域的特異性の評価を通じ、集団間の遺伝的交流実態を推量できる。
キーワード ラオス在来魚類、DNAマーカー、遺伝的多様性、遺伝的集団構造、魚類資源保全
背景・ねらい ラオスを含むインドシナ各国の農業水路等の農業関連水塊に、コイ科の在来種Esomus metallicusとタカサゴイシモチ科の在来種Parambassis siamensisは広範囲に分布する。両種とも最大体長60~70 mmと小型種ではあるが、遠隔農村部で重要な食料資源となっている。しかし、近年の外来種の侵入・定着、あるいは農村開発等による環境の変化は両種の生息をも脅かす可能性があり、資源量の減耗に伴う多様性レベルの減少や近親交配等が懸念されている。そこで、同2種のDNAマーカーを開発し、遺伝的多様性レベル・集団構造を評価する。
成果の内容・特徴
  1. E. metallicusで24個、P. siamensisで40個のDNAマーカーを開発し、各マーカーの塩基配列を日本DNAデータバンクに登録した(図1)。
  2. これらのDNAマーカーを用いて、ビエンチャン市内2地点及びナムグム川西岸4地点から採取した両種の遺伝的多様性レベル(対立遺伝子数とヘテロ結合度から評価)を解析し、同2種は高い遺伝的多様性を持つと評価され(図2)、開発マーカーの評価ツールとして有効である。
  3. 個体ごとの対立遺伝子数とヘテロ接合度のクラスター分析の結果、同域内では、E. metallicusで3つ、P. siamensisで2つの遺伝集団が存在し、これらは地域ごとに異なる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 両種の広域にわたる各地個体群の遺伝的多様性・集団構造解析を進めることにより、地域ごとの個体群の遺伝的健全性を評価でき、さらに、移動・繁殖に伴う集団間の交流実態について推量できる(図4)。
  2. 本手法により、個体群の遺伝的多様性が乏しいと判断された場合、当該種の資源生態調査(成長・繁殖解析等)を実施し、その結果に基づき、永続的な食料資源確保に向けての漁業規制案の提言を行う必要がある(図4)。
  3. 上記2種にとどまらず、DNAマーカーの開発を通じ、希少種を含むその他の在来魚種、さらには養殖対象魚種についても、遺伝的多様性を解析することで、各種の遺伝的な健全性を評価することができ、漁業・養殖両面でのマネジメントが可能となり、保全・持続的利用の両面に資する技術である。
図表1 236346-1.jpg
図表2 236346-2.jpg
図表3 236346-3.jpg
図表4 236346-4.jpg
研究内容 http://www.jircas.affrc.go.jp/kankoubutsu/seika/seika2013/2013_C01.html
カテゴリ DNAマーカー 繁殖性改善

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