ブドウ花冠取り器によるさび果の軽減効果

タイトル ブドウ花冠取り器によるさび果の軽減効果
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2007~2013
研究担当者 薬師寺博
山﨑安津
東暁史
杉浦裕義
上野俊人
加田弘
積山真一
発行年度 2013
要約 満開期の第1回ジベレリン処理時にブドウ花冠取り器を使用することによって、ジベレリン処理と同時に花冠の落下を促し、さび果の発生程度を軽減できる。
キーワード ブドウ、花かす落とし、ジベレリン処理、さび果
背景・ねらい ブドウの花冠が開花後の子房に長く付着した場合、灰色かび病菌の二次感染源やさび果の原因になる。その耕種的防除法としてジベレリン処理と同時に簡便に花かす(主に花冠)を落とせる「ブドウ花冠取り器」(平成22年度普及成果情報)を開発したが、市販化に至っていない。また、さび果の軽減効果については未検討である。そこで、市販モデルをメーカーと共同で開発し、開花後の花冠が極めて離脱しにくく果面にさび果が生じやすい「サンヴェルデ」を用いて、市販モデルによる花かす落としおよびさび果軽減効果を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 市販モデルのブラシ素材は、クロロプレン製(厚さ:1.0mm)のシートを使用し、シート中央部に直径10mmの穴を開け、放射線状に切れ目を入れて製作される(図1)。
  2. 満開期の第1回ジベレリン処理時にジベレリン溶液に花穂を浸漬すると同時に、ブラシで花冠をこすり落とす(図2)。花穂がブラシ部に通過する際の抵抗は少なく、容易にジベレリン処理と花かす落としが実施できる。
  3. 花冠取り器区においても使用直後の落花はほとんどなく(表1)、ブラシ処理に起因した傷は観察されない。対照区(カップのみ)のようにジベレリン溶液に花穂を浸漬しただけでは、処理3日後の花冠の落下率は36%であるが、花冠取り器は87%と高い(表1、図3)。
  4. 対照区のさび果「甚」の発生率が約14%であるのに対して、満開期に花冠を全て除去した区(花冠完全除去区)では0.5%である。花冠取り器区の「甚」の発生率は3.7%であり、対照区と比較して「甚」の発生率は減少する(表1)。
  5. 花冠取り器区のさび果発生度は、対照区より小さく、花冠完全除去区とは有意差がないことから、さび果の軽減効果が認められる(表1、図4)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:ブドウ生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:石川県「ルビーロマン」生産地域(15.5ha、農家125戸)で市販モデルを導入済み。「サンヴェルデ」のほか、花かす落としが奨励されている「安芸クイーン」(平成23年栽培面積76.5ha)、「ゴルビー」(同20.6ha)で導入が見込まれる。
  3. その他:平成25年に実施許諾の締結が1件あり、本成果で試験したブラシ素材を使用した市販品が平成26年からツミヤマ株式会社より販売されている。 「ルビーロマン」のようにさび果を起因とした裂果が問題になる品種では、裂果防止にも活用できる。石川県で実施した試験結果に基づき、「ぶどう「ルビーロマン」栽培手引き」中に裂果防止法として、花冠取り器の使用が奨励されている。なお、ブラシ部はカップから取り外せるため(図1)、ブラシ部単体でも花かす落としに利用できる。
図表1 236469-1.jpg
図表2 236469-2.jpg
図表3 236469-3.jpg
図表4 236469-4.jpg
図表5 236469-5.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2013/13_032.html
カテゴリ 病害虫 サビ果 市販化 品種 ぶどう 防除 裂果防止

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