生産現場で収穫した飼料用米の飼料成分

タイトル 生産現場で収穫した飼料用米の飼料成分
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 勝俣昌也
石田藍子
豊田裕子
発行年度 2013
要約 国産飼料資源活用総合対策事業に参加した17 協議会が収穫した飼料用玄米の粗蛋白含量は、最大値(12.2%)が最小値(6.9%)の1.8倍であり、飼料用籾米の場合は1.4倍である(8.9%と6.2%)。高温多湿条件で玄米を保管すると、脂肪酸度が高くなる。
キーワード 飼料用米、玄米、籾米、飼料成分
背景・ねらい 食料・農業・農村基本計画は、飼料自給率を平成32年度に38%にする目標をかかげており、飼料用米の利用を促進するのは急務である。
飼料を配合設計するためには、原料の飼料成分を把握する必要がある。食用米に関わる過去の調査研究は、窒素施肥量が粗蛋白質含量に影響し、品種によって化学成分に差があることをあきらかにしている。全国の飼料用米の生産現場で、同じ品種を同じ方法で栽培しているとは考えにくい。したがって、飼料用米の飼料成分は、生産現場ごとに変動すると考えるのが妥当である。
全国の生産現場で収穫した飼料用米を収集し、飼料成分の変動の程度を把握する。さらに、保管条件が飼料用米の酸化劣化におよぼす影響をあきらかにする。
成果の内容・特徴
  1. 国産飼料資源活用総合対策事業に参加した17協議会から、平成20年と平成21年産の飼料用米(玄米が14品種25サンプル、籾米が10品種17サンプル)を入手して分析す る。保管条件による酸化劣化の程度をあきらかにするために、玄米と籾米を28°C相対湿度80%の条件で保管して脂肪酸度の変化を調査し、4°Cで保管したときと比較する。
  2. 玄米の粗蛋白質含量の最大値は、最小値の約1.8倍であり、籾米では約1.4倍である(表1と2)。主要な必須アミノ酸のリジン含量は、玄米で最大値が最小値の約1.6倍、籾米では約1.8倍である。総エネルギー含量の変動係数は小さいが、その他の成分の変動係数は7.3~33.9である。
  3. 粗蛋白質含量と総リン含量の相関を検定すると、玄米では、P=0.014×CP+0.174 (R2=0.41,P<0.05, P: 総リン含量, CP: 粗蛋白質含量) の回帰式をえる。籾米では、P=0.019 ×CP+0.166(R2=0.63, P<0.01)の回帰式を得る。このように、飼料用米の粗蛋白質含量と総リン含量の間に正の相関がある。この結果は、粗蛋白質含量の変動が施肥量の違いに起因することを示唆する。
  4. 28°C相対湿度80%で4あるいは8週間保管すると、4°Cで保管したときよりも脂肪酸度が高くなる(P<0.01)。また、籾米で保管するよりも玄米で保管したほうが、脂肪酸度が高くなる(P<0.01)。
成果の活用面・留意点
  1. 飼料用米の飼料成分の変動の参考資料となる。
  2. 低温庫で保管すれば、飼料用米の脂肪酸度を低く維持することができる。
  3. 平成20年度には17協議会のうち9協議会が食用品種を飼料用米として栽培しており、平成21年度には9協議会のうち4協議会が食用品種を飼料用米として栽培している。
図表1 236559-1.jpg
図表2 236559-2.jpg
図表3 236559-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s26.html
カテゴリ 飼料用米 飼料用作物 施肥 品種

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