エリアンサスの越冬後収穫は秋季収穫より圃場からの養分収奪を軽減する

タイトル エリアンサスの越冬後収穫は秋季収穫より圃場からの養分収奪を軽減する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2009~2011
研究担当者 松波寿弥
小林真
安藤象太郎
寺島義文
発行年度 2013
要約 イネ科多年生資源作物エリアンサスには冬季に茎葉上部の無機養分が茎葉下部及び根部に転流する養分循環機構が存在するため、越冬後の3月収穫では越冬前の10月収穫に比べ窒素、リン及びカリウムの収奪量を半分程度に軽減できる。
キーワード エリアンサス、資源作物、無機養分、養分収奪
背景・ねらい バイオ燃料技術革新計画(2008年策定)及びバイオマス活用推進基本計画(2010年閣議決定)に基づいて、食料と競合しない原料作物の研究開発が進められており、長期的多収性や燃料特性(低灰分・高発熱量)の面からイネ科多年生草本エリアンサスが注目されている。しかし、エリアンサスはその多収性のために土壌養分の損失が大きいことが危惧され、持続的・低コスト生産のためには養分収奪の軽減が必要である。ススキ属等では、越冬前に無機養分が地際部などに転流し翌春の再生に利用される養分循環機構が存在するが、エリアンサスでも同様であれば越冬後収穫により養分収奪と施肥コストを低減できるため、検証を行った。
成果の内容・特徴
  1. 畜産草地研究所(栃木県那須塩原市)において2009年6月9日に栄養系で定植(畦間2m・株間2m)したエリアンサス系統「JW630」について、定植後2年間にわたって10月と3月に株の刈取・採取を行い、実用的な収穫対象部位である地際から高さ30cm以上の茎葉(以下、茎葉上部)、地際から30cmまでの茎葉(茎葉下部)及び根部(深さ80cmまで)に3分別して調査したところ、3月には茎葉上部の無機養分濃度が減少する一方で、茎葉下部及び根部の窒素含有量は約20%増加する(図1)。すなわち、無機養分は冬季に茎葉上部から茎葉下部・根部に転流する。
  2. 定植2年目の10月収穫で収奪される茎葉上部の無機養分を施肥量(窒素:36g/株、リン:16g/株、カリウム:30g/株)と比較すると、窒素とカリウムでは約2.4倍、リンでは約1.1倍に達し、養分収奪量が多い。一方、3月収穫ではこれら3元素の収奪量は10月収穫の約半分に軽減できる(図1)。
  3. 3月収穫では茎葉部の折損・飛散によって乾物収量は10月収穫の約75%となるが乾物率は高く(図2)、運搬・乾燥に要するエネルギーを節約できる点でも優位性がある。
成果の活用面・留意点
  1. エリアンサスの栽培マニュアル策定に当たり、養分収奪を軽減可能な収穫時期の情報として役立てることができる。
  2. 本情報は冬季の立毛乾燥に伴う無機養分の転流を利用したものであるため、立毛乾燥しない亜熱帯地域及び、積雪による茎葉の乾物損失が多く収穫適期が限定される多雪地域では適用できない。
図表1 236561-1.jpg
図表2 236561-2.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nilgs/2013/nilgs13_s29.html
カテゴリ 亜熱帯 乾燥 コスト 栽培技術 施肥 多収性 低コスト

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