潤滑油やグリースの劣化度を簡易に評価する携帯型測定装置

タイトル 潤滑油やグリースの劣化度を簡易に評価する携帯型測定装置
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
研究期間 2012~2014
研究担当者 國枝正
水間啓慈
森充広
川畑雅彦
吉田直樹
井原聡
発行年度 2013
要約 ポンプ設備の軸受や減速機に使用されている潤滑油やグリースを採取し、検出部に塗布するだけで劣化度を簡易に判定する測定装置である。小型軽量であり取扱いが容易なため、専門知識がなくても潤滑油やグリースの状態を評価することができる。
キーワード ポンプ設備、機能診断、潤滑油、グリース、携帯型測定装置
背景・ねらい 基幹的な農業用ポンプ場は全国に2,800カ所以上ある重要な施設であるが、これらの多くは老朽化が進行しており、7割が耐用年数を超過している状況にある。補修・改修の優先順位を決定し、適時適切に維持管理を行うためには、施設の状態を的確に診断し、性能低下している施設から効率的に保守・保全する必要がある。 機械の性能低下を引き起こす要因として、潤滑剤(潤滑油やグリース)の酸化劣化や水分上昇などが挙げられる。しかし、現在、これらを詳細に診断するためには、専門の分析機関に依頼する必要があり、時間とコストが掛かるという問題点がある。そこで、本研究では、施設を管理する技術者自らが現地で簡易に潤滑剤の劣化度を測定し、診断することができる装置を開発する。
成果の内容・特徴
  1. ポンプ設備では、軸受や減速機などの回転部に潤滑剤が使用されている。潤滑剤の劣化の多くが酸化劣化と水分上昇であることから、潤滑剤の酸価(mgKOH/g)と水分(ppm)を測定すれば、その劣化度を概ね推定できる。
  2. 開発した携帯型測定装置は、ATR(Attenuated Total Reflection、減衰全反射)結晶を用いた検出部と、評価部および表示部から構成されている(図1)。本装置の特徴は、潤滑剤の酸化劣化の指標となるカルボキシル基により赤外線が吸収される帯域と、水分により吸収される帯域の2種の赤外線通過帯域フィルタを採用し、それらを受光素子の前面に並列配置し自動スライドさせることにより、2帯域の赤外線を簡易な機器構成で分光可能にした点である。
  3. ポンプ設備の回転部から採取した潤滑剤(図2)を、検出部のATR結晶表面に塗布する。その際にATR結晶内を通過した赤外線は、界面で潤滑剤の影響を受けて反射光のエネルギーが減少する。2種の帯域フィルタを通過した赤外線の強度を受光素子で電気的に検出することによって、潤滑剤の酸価と水分を各々測定することができる。
  4. 潤滑剤を五段階に酸化劣化させて、それぞれの酸価と測定した電圧の関係を図3に示す。酸価の値が大きいほど測定される電圧の値は小さくなり、両者には線形の関係が認められる。
  5. 本装置の外観を図4に示す。試作機の外寸は縦195mm、横95mm、高さ40mmで、重さは約500gと小型軽量である。採取した潤滑剤を検出部に塗布するだけで専門的な知識がなくても劣化状態を判断できるよう、瞬時に、酸化劣化と水分上昇の程度をそれぞれ三段階に評価(良好、注意、異常)して表示することができる(図3参照)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:多くのポンプ場を管理する土地改良区の技術者など
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国で当面100台
  3. 農業用ポンプ設備のみならずゲート油圧作動設備や、電力分野、下水道分野、自動車など潤滑剤を用いる機械設備は全て対象となり、幅広い分野に技術移転が期待される。
図表1 236595-1.jpg
図表2 236595-2.jpg
図表3 236595-3.jpg
図表4 236595-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2013/13_066.html
カテゴリ コスト

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