食品・農産物の遺伝子検査に利用できるサンプルダイレクトDNA分析試薬

タイトル 食品・農産物の遺伝子検査に利用できるサンプルダイレクトDNA分析試薬
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2011~2013
研究担当者 真野潤一
高畠令王奈
橘田和美
発行年度 2013
要約 開発したリアルタイムPCR用分析試薬を用いることで、食品や農産物の粗抽出液からDNAを精製することなく直接PCR分析を行うことができる。この試薬は、食品や農産物の分析に幅広く利用できるため、今後、様々な遺伝子検査の簡易化が期待される。
キーワード サンプルダイレクト、DNA分析、リアルタイムPCR、簡易化
背景・ねらい 食品や農産物の遺伝子検査は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて行われることが一般的であるが、食品や農産物にはPCRを阻害する物質が多量に含まれているため、分析試料からDNAを精製することが必須となっている。DNAの精製には煩雑な作業を要するため、DNAの精製操作が遺伝子検査の律速作業になっている。そこで、DNAを精製せず、試料の粗抽出液の状態から直接分析を行うサンプルダイレクトDNA分析の実現を図る。近年、PCRの結果判定に電気泳動を必要としないリアルタイムPCRが普及しつつあることから、サンプルダイレクトDNA分析を可能にするリアルタイムPCR用の試薬を開発し、DNAの精製と電気泳動の両方を必要としない極めて簡易な遺伝子検査を可能にする。
成果の内容・特徴
  1. 本成果は、株式会社島津製作所、株式会社ニッポンジーンとの共同研究によるものである。開発した試薬は、株式会社ニッポンジーンから「DirectAce qPCR Mix plus ROX tube」として商品化されている(図1)。
  2. 開発した試薬は、食品や農産物試料に含まれるPCR阻害物質の影響を受けにくく、かつ、蛍光プローブアッセイ型リアルタイムPCRに最適な反応液組成になっている。この試薬は、DNAポリメラーゼ、ヌクレオチドモノマー、緩衝液等が混合された溶液状態になっており、検査試料から得た粗抽出液および検査の目的に応じて合成したプライマーDNA、蛍光プローブDNAを混合するだけでリアルタイムPCR装置による分析を実施することが可能である(図2)。
  3. 各種試料に極微量の人工鋳型DNAを添加してPCRの成否を確認する評価試験を実施し、様々な食品・農産物試料のサンプルダイレクトDNA分析が可能であることを確認している(表1)。
  4. 開発した試薬は、標的遺伝子の定性分析・定量分析、いずれの用途にも使用することができる。遺伝子組換え農産物を含む試料のサンプルダイレクトDNA分析を実施し、精製DNAを用いる従来の検査と同等の検出感度・定量精度が得られることを確認している。
  5. 開発した試薬を利用することで、今後、様々な検査機関で従来よりも簡易に遺伝子検査を行うことができる。同じコストでより多くの検体を分析することができるため、食品の安全性・信頼性がこれまでよりも高いレベルで保証可能になるものと期待される。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:食品・農産物の流通事業者及び分析機関
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国
  3. その他:従来のDNA精製操作は通常2時間程度の作業を要するが、本分析試薬を使用した場合には10~20分程度で済むため、人件費等コスト面でも有利である。また、開発した試薬は、PCR阻害物質の影響を受けにくい性質があるため、精製DNAを用いた遺伝子検査においても、既存の試薬に比べて信頼性の高い分析結果を得ることができる。
図表1 236625-1.jpg
図表2 236625-2.jpg
図表3 236625-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nfri/2013/13_054.html
カテゴリ コスト

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