温暖地向けリポキシゲナーゼ全欠のだいず新品種候補系統「四国10号」

タイトル 温暖地向けリポキシゲナーゼ全欠のだいず新品種候補系統「四国10号」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2001~2013
研究担当者 高田吉丈
猿田正恭
岡部昭典
菊池彰夫
発行年度 2013
要約 だいず「四国10号」は子実中のリポキシゲナーゼアイソザイムをすべて欠失しており、粗タンパク含有率が高く、豆腐、醤油などの加工に適する。近畿中国四国地域における成熟期は中生で、同熟期の「サチユタカ」より青立ちの発生が少ない。
キーワード だいず、リポキシゲナーゼ欠失、青立ち、温暖地
背景・ねらい 近畿中国地域では主要品種として「サチユタカ」が普及し、主に豆腐用原料に使用されているが、他の加工製品の原料に適する大豆品種の栽培は少ない。本地域における大豆生産拡大のためには、機械化栽培に適した栽培特性および実需者の求める品質特性を備えた品種の普及が重要である。また、さらなる需要拡大や6次産業化の促進に、味や物性面で既存の大豆製品と差別化可能なリポキシゲナーゼ欠失性などの子実成分改良大豆の活用が期待できる。そこで、豆腐以外の用途にも適性があり実需者ニーズに合致する温暖地向き子実成分改良大豆品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「四国10号」は、2001年にリポキシゲナーゼアイソザイム(L-1、L-2、L-3)欠失の「エルスター」を母、耐倒伏性で多収の「サチユタカ」を父とした人工交配から育成された系統であり、大豆の青臭みの原因となるリポキシゲナーゼアイソザイムの3種類(L-1、L-2、L-3)をすべて欠失している。
  2. 近畿中国四国地域における成熟期は“中生”で、同熟期の「サチユタカ」より青立ちの発生が少ない。子実重は「サチユタカ」より多収で、「タマホマレ」と同等である(表1)。
  3. 百粒重は「サチユタカ」より軽く「タマホマレ」に比べやや重い。裂皮は「サチユタカ」、「タマホマレ」より少ない。粗タンパク含有率は「サチユタカ」よりやや低いが「タマホマレ」より高い(表1)。
  4. 豆腐は不快味、こく味、おいしさの評価が良好で、その他の項目も標準品種「フクユタカ」と同程度で、豆腐加工に適する(表2)。
  5. 醤油は、うまみ成分の素になる圧搾生汁の全窒素が「タマホマレ」よりやや高く、色度は同じランクで「淡口」規格を満たし、官能評価は「タマホマレ」と同等で、醤油醸造に適する(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 栽培適地は近畿中国四国地域である。
  2. 兵庫県たつの市で「タマホマレ」に置き換えて作付され、醤油用原料として需要が見込まれる。
  3. リポ全欠大豆の特性を利用して、青臭みの無い豆乳や風味を活かした豆腐の製造が可能である。
  4. ダイズモザイクウイルスA2系統およびダイズシストセンチュウに対する抵抗性が無いので、これら病害虫が蔓延する地域での栽培は避ける。
  5. 「タマホマレ」より裂きょうしやすいので、コンバイン収穫可能な茎水分に達したら速やかに刈り取る。
図表1 236692-1.jpg
図表2 236692-2.jpg
図表3 236692-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2013/warc13_s06.html
カテゴリ 害虫 加工 機械化 需要拡大 新品種 生産拡大 大豆 抵抗性 品種

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