盛夏期におけるイチゴ苗の蒸熱処理装置による病害虫同時防除

タイトル 盛夏期におけるイチゴ苗の蒸熱処理装置による病害虫同時防除
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2011~2013
研究担当者 高山智光
曽根一純
壇和弘
日高功太
中原俊二
今村仁
沖村誠
前原重信
北山幸次
脇田修一
中路旭
発行年度 2013
要約 飽和水蒸気を熱媒体とする蒸熱処理装置を用いて、イチゴ苗に寄生するうどんこ病、アブラムシ類、ナミハダニを、50°C10分間あるいは52°C5分間の処理で、苗に重大な障害を生じさせずに、病害虫を同時に防除できる。
キーワード 蒸熱処理、イチゴ苗、うどんこ病、アブラムシ類、ナミハダニ、同時防除
背景・ねらい 栽培期間が長いイチゴの安定生産を図るためには、効果的な病害虫防除が不可欠である。特に夏季の育苗期に防除を徹底することは、本圃への病害虫の持ち込みを削減することにつながり、その効果が高い。しかし、病害虫の薬剤抵抗性の発達により化学農薬の防除効果は低下しており、現行の「化学的防除」と「生物的防除」の他にも、新たな代替防除技術が必要となっている。そこで、薬剤抵抗性の病害虫にも高い防除効果が期待できる「物理的防除」として蒸熱処理による防除装置を開発し、処理条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. イチゴ苗に寄生するうどんこ病菌、アブラムシ類、ナミハダニ等の防除目的に開発した病害虫同時防除機は、密閉された断熱容器内の加温ヒーター、加湿装置、送風機、温湿度センサーから構成され、飽和水蒸気を熱媒体とする蒸熱により物理的に病虫害を防除できる(図1)。
  2. 蒸熱処理は、温湯直接散布あるいは苗を温湯に浸漬する防除法に比べて、相対湿度95%以上のほぼ飽和水蒸気を用いるため、水を用いるより容積あたりの熱容量が小さく、送風機による強制循環と温湿度のマイコン制御により、均一かつ精密な温湿度制御ができる(図2)。
  3. 盛夏期のイチゴ苗は50°C10分、52°C5分の蒸熱処理であれば、ほとんど障害は発生しない。もし障害が発生しても一部の葉の縁枯れ程度である(表1)。
  4. 葉に寄生したうどんこ病菌、アブラムシ類は44°C10分の処理で死滅し、ナミハダニは50°C5分の処理で死滅することから、50°C10分あるいは52°C5分の蒸熱処理により、病害虫を同時に防除できる(表1、2)。
成果の活用面・留意点
  1. 処理中の相対湿度が低下すると、葉温が上昇しないため、十分な加湿が必要である。
  2. イチゴ苗の耐熱性の結果は、盛夏期の「紅ほっぺ」で得られたものである。時期や異なる品種の耐熱性については検討を要する。
  3. 障害が発生・拡大する場合があるため、処理終了後は速やかに装置を開放し、苗に散水する。また、処理後の苗を日中乾燥した屋外に放置しない。
  4. 奥行約5m×幅約3m×高さ約2mの3段の可動棚を有する蒸熱処理装置を用いると、同時に約3000~4000株のイチゴ苗を処理できる。送風機、ヒーター等の増減により、異なる大きさの装置を製作できる。装置一式は(株)FTHが製造し、(株)ナチュラルステップが販売している。
図表1 236715-1.jpg
図表2 236715-2.jpg
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図表6 236715-6.jpg
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研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2013/karc13_s09.html
カテゴリ 病害虫 育苗 いちご うどんこ病 害虫 乾燥 生物的防除 抵抗性 農薬 病害虫防除 品種 防除 薬剤

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